俺はただ怖かった。

第1話 ホラー

2020 11/7(土)

俺はホラー映画が好きだ。

人間一つのことに意識が集中している間は別のことが考えられない。

画面の中の幽霊が今の閉塞した現実から逃してくれるはずだ。リモコンを手に取ってネットフリックスを起動した。

画面を見続けること20分。俺は耐えられなくなってテレビを消した。気づいてしまったのだ。

月曜日の学校に対する恐怖が、俺に幽霊を克服させてしまったことに。

なぜこうなってしまったのだろう。俺のせいだ。俺は擁護しようもない卑怯者だ。クラス全員そう思ってる。実際その通りのことをしてしまった。いや、重要なのはこれからどうするかだ。彼女に謝ったら許してくれるだろうか。

友達にはなんて弁明する？いや、向こうはもう俺のことを友達だと思っていないだろう。

どんなホラーより人の思考が怖い。これは今気づいたことじゃない。昔からそうだった。

そんな過剰な自意識が俺をここまで追い込んだのだろう。

恐れることがリスク回避につながるわけじゃない。むしろ不安に対処するためにとった行動が新たなリスクを生む可能性もある。

それをあの日、あの時に気づけていれば...