エビルテキストの嘘の文章を見抜いて、生き残れ‼

サコジ

第1話 エビルテキストの脅威に晒される王国

 しずみかけた夕涼ゆうすずみの木漏こも遊歩道ゆうほどうを、一人ひとり人間にんげんがうきうきとあるいていた。


かれはメイナン(Merchant, Maynan)。商人しょうにんである。

かれ背負せおった行商用ぎょうしょうよう大型おおがたリュックには、とある王国おうこくミルガルドの市場しじょう仕入しいれた商品しょうひんがたくさんまっていた。


かれがご機嫌きげんなのは、かれみせ人気商品にんきしょうひんである雪上せつじょうオコジョのかわが、なんと1まい100ゴールドの安値やすね仕入しいれることができたからだ。

雪上せつじょうオコジョのかわは、かれくに人気にんき高級こうきゅうコートに加工かこうされるため、1まい1000ゴールド以上いじょう高値たかね取引とりひきされる。


1まい100ゴールドで仕入しいれたかわが、なんと1まい1000ゴールド以上いじょうれるのだ!


とんでもないボロもうけだ!!


商人しょうにんのメイナンはまさにてんにもがりそうなほどのルンルン♪気分きぶんで、かれくにへの帰途きとについていた。


「ん?」


帰途きとくメイナンのまえに、1まい看板かんばんっていた。



『このさき、  安全あんぜん  なみちです。をつけてとおってください。』



看板かんばんには、そうかれていた。


なんだこの看板かんばん?」


メイナンは看板かんばんつぶやいた。


安全あんぜんみちなのに、なんをつけてとお必要ひつようがあるんだ?へんなの。」


メイナンは看板かんばんかれている文章ぶんしょう不思議ふしぎがりながら、さきすすんでいった。




 よるになり、あたりはくらくなっていた。


「すっかりくらくなっちゃったなぁ。宿やどまでいそがないと。」


メイナンは、よる暗闇くらやみからのがれるように、あゆみをすすめた。

チョロチョロと、小川おがわのせせらぎのようなおとが、あたりにひびいていた。


そのときだった。


「わわわっ!?」


メイナンは、きゅうあしすべらせた。

何故なぜかれ足元あしもとが、きゅうにつるつるとすべったからだ。


かれ足元あしもとには、ちかくのみずながたことによってえた、ぬるぬるのこけが、岩肌いわはだみちおおっていたのだ。


「うわっ!うわっ!」


メイナンは、ぬるぬるのこけえた岩肌いわはだみちを、すべってころががっていった。


「あッッ!?」


かれ身体からだは、漆黒しっこくやみひろががる谷底たにぞこに、された。


「うわあぁぁぁぁぁ~…」


メイナンの悲鳴ひめい谷底たにぞこけてひびいたあとあたりにはよる静寂せいじゃくもどり、しずまりかえった。



「キキキキ…」


どこからともなく、不気味ぶきみわらごえこえてきた。


「キキキキ…♪キキキキ…♪」


そのわらごえは、谷底たにぞこちたあわれな商人しょうにんメイナンのを、まるでよろこんでいるかのようだった。



しばらく不気味ぶきみわらごえひびいたあと


月明つきあかりが、あたりをらしていた。





[タイトルコール]


『 エビルテキストのうそ文章ぶんしょう見抜みぬいて、のこれ‼ 』





(第2話に続く…)






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