七・五・三分喜劇集

金曜日〜スピントルマンの裏切り〜

子供たちのヒーローであるスピントルマンは、日夜、巨大怪獣と戦い地球の治安を維持していた。

そんなある日の夜、日本のとある地域に１体の巨大怪獣が出没した。

巨大怪獣は、辺りを破壊する気満々といった様子である。

そんな日本の危機に、いつものようにスピントルマンがスピントル星から飛んでやって来た。

子供たちが見守る中、スピントルマンは尋常ではない強さで敵を圧倒し、フィニッシュは必殺技のスピントルドロップで、見事に怪獣をやっつけた。

「スピントルマン、かっこよすぎます！　いつもみんなを守ってくれてありがとうございます！」

子供たちは目をキラキラさせながら、ヒーローに向かって皆、懸命に手を振った。

スピントルマンはそれに応えるかのように、子供たちに向かって拳を握りしめて、ガッツポーズをして見せた。

そして、スピントルマンは子供たちに背を向けると、バンザイするように両手を上げて空に向かって飛び立った。

「スピントルマン、ありがとうございました！　あなたは最高のヒーローです！　スピントル星に帰ってゆっくり休んでください！　……あれ？　スピントル星の方角じゃないぞ。どこに行こうとしているんだろう？」

スピントルマンが向かったのはスピントル星ではなく、様々な誘惑の待つ、夜の街なのであった。

「こんちくしょう！　ふざけるな！　期待させやがって！」

スピントルマンは、子供たちの気持ちなど知ってか知らでか、グングンと加速して行くのであった。