水曜日〜ダニたちの奇策〜


ダニたちは心を痛めていた。



人間が発明した大型殺人兵器・掃除機によって、仲間たちが音速の如く、何もなす術のないまま吸い込まれて命を落としていくことに……。



ダニたちは考えに考えた末、ある結論にたどり着いた。



「1匹だと軽すぎるから、簡単に吸い込まれてしまうんダニ。10匹で1組になって、円陣を組むんダニ。そうすれば、重さで吸い上げられないはずダニ」



ダニたちは勝利を確信すると、近くに居るもの同士、笑い声をあげて手を握り合った。



そして、運命の日がやって来た。



巨大ロボットは、さらに大きな人間に操作されて、忌まわしい爆音を立てながらこちらに向かって来る。



だが、ダニたちに恐怖心などというものは微塵もなかった。



「今こそ、散っていった仲間たちの無念を晴らすときダニ! オレたち無敵のハヴァンガビン!」



キャプテンが叫ぶようにしてそう言うと、皆も一斉に「オレたち無敵のハヴァンガビン!」と言いながら、キャプテンに続いてフォーメーションを組み始めた。



10匹ずつ肩を組み合い円を作ると、腰を下げて重心を低くし、戦闘態勢をとった。



敵は凄まじい速さでこちらに向かって来る。



ダニたちは掛け声を合わせながら、自分を、仲間たちを鼓舞する。



「オレたち無敵のハヴァンガビン! オレたち無敵のハヴァンガビン! オレたち無敵のハヴァンガビン! オレたち無敵のハヴァンガビン! オレたちむ」



結果はむなしく、結局、音速の如く吸い込まれてしまうのであった。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る