第18話

「テン、ついたよ!」


 リアの声で起きる。外を見渡すとキノコみたいな屋根の低いお家が並んでいる。

 へー!ここが魔法使いの里か。


 馬車を一つの建物の前に停めると、リアのお母さんが中に入った。しばらく待つとお母さんは鍵を手にしていた。宿のかな?


 そこからグネグネした道を通る。たまに家からは色とりどりの煙が出ている。魔法薬かな?


 グネグネとしばらく行くとキノコみたいな屋根の家に着いた。ここに泊まるらしい。


 さっと荷物を下ろすと、リアとリアのお母さんと洗礼の申請に行く。


「魔法使いのスキルの申請にきました。」

 リアのお母さんが受付に言う。


「こちらへどうぞ。」

 案内された席に座る。


「この書類に必要事項を書いてお待ちください。」


 リアが書類を書いている間に僕は周りを見渡す。受付のお姉さん同様、みんな黒か紺の服を着ている。杖を動かして何かしている人も多い。


「書けました。」

「はい。」


 お姉さんが書類を見ている。


「それではこちらに手をかざしてください。」

「はい。」


 ふわっと光る。

 リアが離した瞬間に僕も前足の肉球をつけた。


 魔法使いになれるかなー♪


 ふわっと光る。


 やった!光った!


「これで申請は終了です。」


 え!?申請!?

 今のが洗礼じゃないの?


「明日朝8時にこちらへ来てもらって、洗礼の間に行ってもらいます。お嬢さまは既に魔物使いのスキルをお持ちだと言うことなので洗礼を受けられるかどうかわからないということをが理解ください。」

「はい。」


 リア、魔法使いにならないかもなの?

 僕との出会いを優先してくれたんだ。


「そちらは使い魔ですか?」

「はい。」

「洗礼の間には一緒に入られますか?」

「きゃん!」

「入りたいそうです。」

「わかりました。申請しておきますね。」


 お姉さんが書類に書き加える。


「よかったね!テン。」

「きゃん!」

 うん!一緒に行けるね!


「きゅう」

 でも、リア僕がいるから魔法使いなれないかもなの?

「んー?テンがいるから無理でもいいよ!なれたらラッキーぐらいな感じだから。」

「きゅん。」

 そっか。

「気にしないでね!」

「きゃん」

 うん!


 明日、リアが成功したら僕も触ってみよう。リアを守る力はいっぱいあるほうがいいもんね!


「こちら受付表となります。洗礼は洗礼石が光れば成功となります。光らなければ失敗です。洗礼成功後、こちらに登録すれば13歳の時に魔法学園への受験資格が得られます。すぐに登録しなくても14歳の入学までに申請すれば受験できますのでご安心ください。」


 ふむふむ。魔法学園都市で見た学校だね。登録するのかな?


「魔法学園は使い魔を連れて行けますか?」

「そうですね。少しお待ちくださいね。」


 そう言ってお姉さんはどこかへ行った。

 しばらくして戻ってきたお姉さんは言った。


「ダブルスキラーがそもそも珍しいので申請は必要になりますが、契約獣を手に入れる人もいるので大丈夫だとのことです。」

「よかった。ありがとうございます。」

「いいえ。よかったですね。とても仲が良さそうですものね。」

「はい。」

「きゃん!」

 仲良しだよ!ありがとう!


「これでこちらでのご案内は終了です。明日お待ちしておりますね。」

「はい!明日もよろしくお願いします。」

「はい。」


 僕たちは受付を後にした。

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