第709話床屋

今日、ほろ酔い気分で帰ると、近所の床屋が気になる。僕は20数年間、ずっと美容室で髪を切っていたが、最近は出来上がりに不満を抱く。

だが、知らない床屋でヘルメットのような髪型にされたらたまったもんじゃない。

床屋のご主人は、僕と同じくらい太ってる。店内は、どちらかと言えば清潔的でない。

迷った。

しかし、ほろ酔いが背中を押した。

「すいません、いくらですか?」

「いらっしゃいませ!全部合わせて4500円です」

「ち、ちょっとタバコ吸います」

僕はタバコを吸いながら考えた。

カット、シャンプー、髭剃りだろうが4500円は高く無いだろうか?財布には1万5000円入っているので、じゃお試しにと考えて、髪の長さの好みを伝えた。

必死に、床屋のご主人は高校野球の話や、近くの大学病院の工事の話しをしていた。

僕は適当に相づちを打ち対処した。

もみ上げを掴んだご主人、ハサミでバッサリ!

あわわわわっ!

メガネをしていないので、自分の髪型がどうなったか不安で不安で。

眉を整えてから、お楽しみの髭剃り。

とっても気持ちが良い。20数年間、髭剃りをしてもらってなかった。

シャンプーも美容室より、上手。

最後に、肩と首元をマッサージしてもらった。

髪型が不安だったが、まぁ合格。

よって、次回からこちらの床屋さんの常連さんになろうと思う。


それを察したのか、ご主人は定休日カードを渡してくれた。

また、来ます!

と、言って店を出た。話しで高校生の娘さんがいるらしいが、美容師を目指しているとにこやかに話していた。

うちのガキは中学生だから、ご主人と年齢は案外近いかも知れない。

今日のほろ酔いは、新たな出会いを作ってくれた。

あっ、明日は金曜日かぁ〜。いつも土曜日に髪を切っていたので勘違いしてた。

明日まで頑張ろう。


本日のオマケでした。

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