第2話 思わぬ忘れ物

「皆さん昼ごはんですよ」

配給が来たようだ。配給ロボットたちはアームで、地味にバリエーションがあるおにぎりを掴むと、次々にロボットたちに配った。

ウォーリーはオムライスのおにぎりと水筒をもらうと、水をタンクの中に入れた。

オムライスのおにぎりは、オムライスのオム?の部分が、ライスの部分を包んでいる。ウォーリーの大好物で、社宅の冷蔵庫に常備しているらしい。

「冷蔵庫に常備したんだぜこれ」

「え⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎(対地上制圧兵器様に話しかけられた⁉︎)は、はい!そうなのですか!私もそれ好きなんです。とても美味しいですよね!」

「あ、タメ語で良いよ?」

「あマジ?じゃあタメ語で話すわ。マジうめぇよなぁこれ、もううますぎて爆発しちゃうわBANBANBAN!!!!!!」

「君なんて名前なの?」

「俺ぇ?ロイだ。よろしくゥゥゥゥゥゥゥゥ」

ロイというロボットは、一つ目がついた傘のような形で、持ち手の部分が手になっている。

「そうなのか。俺戦場初めてなんだ。なんか教えてくれる?」

「んー?うーんじゃあな……、いや、何もねぇなぁ。ってか、対地上制圧兵器だろ?適当にぶっ放してればそのうち勝てんだろ笑」

「そ、そうか」

ウォーリーは苦笑いしたが、やがて真顔になった。

「ん?どうした?」

「……………エアコン消し忘れた」

「は?」

「やばい。エアコン消してない!」

「……ま、まあ大丈夫だろ。対地上制圧兵器だし……。俺らみたいな雑魚がやったらクビ確定だけどよぉ」

「いやいや、そんなことない。エアコンつけっぱなしは階級関係なくクビらしい」

「けどオメェ、3億円もかかったんだろ?そんな簡単に捨てるか?」

「うーん………」

「敵の応援が来ました!!!!!!」

「おう、そろそろ仕事の時間だな。後で会おう」

「うん………」

ウォーリーは目の前に敵のロボットがいたので、立ち上がった。

「お前が対地上制圧兵器か。意外とコンパクトだな」

「ま、まあね」

ウォーリーがソワソワしていることに気づくと、不敵な笑を浮かべた。

「俺に怖気おじけついたか」

「いや、そういうわけじゃ………」

「強がらなくてもいいんだぜ?実際強くないけど。雑魚乙」

「ああそうかよ!なんだって言えばいい」

「ほう……、この世は煽り耐性と煽り性能が高いやつが生き残れるんだ。俺はどちらも兼ね備えている。どうだ?怖いか?」

「別にどうでもいい。むしろ戦場で精神攻撃している方が精神的におかしい」

「ハァァァァァァァァァ??????この俺の精神が……、おか!おか!おかしいだとぉぉぉぉぉぉ??????」

「煽り耐性ボロッボロで草」

敵は腰からライトセーバーのような剣を出すと、刃先をウォーリーに向けた。

「お前には対地上制圧兵器もどきがお似合いだ」

敵は剣を振り下ろすが、ウォーリーに片手でキャッチされ、その直後一つ目から放たれたビームが目に直撃した。

「うわぁぁァァァが、ァァァぉァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」

必死に目を押さえる敵はウォーリーに切り刻まれた。

「やばいやばい。勤務中に帰ってもいいのかなぁ?………エアコンつけっぱなしもよくないよね!うん!帰ろう!!!!!!」

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