第75話春香の頼み(11)帰りのバスにて
オリンピック有望選手小川と、その手下鈴木は、下着窃盗、婦女暴行(柔道部女子に対する)、恐喝暴行(男子柔道部員に対する脅しと現金巻き上げ、暴行も確認された)で、警視庁により逮捕。(まだ余罪は多いと思われたので、柔道部のOBも含めて、柔道部全員に対する事情聴取が行われている)
また、柔道部監督遠藤も、責任を取って辞任(管理監督の拙さ、指導責任を問われた)。
大学本部は、柔道部の廃部を含めて、検討に入った。
帰りのバスで、華音。
「春香ちゃん、とても、見逃すことはできなかった」
春香
「まあ、そうやな、しかたない」
「優里奈は、オリンピックに出られんかもな」
「問題柔道部やから」
エレーナ
「個人の資格では、出られないの?」
華音
「難しいと思うよ、柔道界は、ガチガチの古い体質」
「先例に背くことは、悪と思っている」
「勝利至上主義に凝り固まっている」
「強い奴が偉い、オリンピックで勝つ奴だけが偉い」
「だから、それ以外の悪事は、見て見ぬふり」
「それも今回の事件の原因の大きなもの」
シルビア
「久保田紀子さんが柔道場にいた全員に催眠かけてあるから、華音が小川を倒したことは、誰も覚えていないけど・・・かけていなかったら・・・」
春香
「もう、スカウトの嵐やな・・・勝ちたいばかりに、人の都合なんて考えもしない」
少しして、柳生霧冬が華音に声をかけた。
「なあ、例の真剣師や、華音、いつがいい?」
華音は、「うん」と言ったけれど、やはり予定帳を見る。
「あ・・・ごめん・・・司法試験が・・・7月・・・できれば集中したい」
「三田と岩崎の理事会もある」
柳生霧冬
「大変やな・・・それは」
「中途半端には立ち会わせとうないし」
「司法試験の後にしよう」
華音
「司法試験が終わると、政府の会議が多い、その間かな」
「政府の会議は・・・どうでもいいけれど」
柳生霧冬は、そんな華音をいさめる。
「そう言うな、華音」
「政府も結局は、華音を頼る」
華音
「それか、勉強に集中する前、今の時期でもいいよ」
柳生霧冬が首を横に振る。
「でもな、真剣師が、まだ日本におらんのや」
「アフリカでライオンの群れと、喧嘩しとるみたいや」
途端に、華音の顔が、明るくなった。
「うわ!面白そう、遊びたいなあ」
すると、華音の司法試験と公認会計士の家庭教師でもある、久保田紀子が後ろの席から口撃をかけた。
「人間凶器対地上最強動物ってこと?」
「その前に、やることあるでしょ?」
華音は、悔しそうな顔。
そのまま下を向いてしまった。
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