第77話 王宮にて
「おかえりなさい!!」
私が王宮にワープで戻ると、ここに現れるのはわかっていたといわんばかりに目の前にレイナが立っていた。
そのレイナに向かって真っ先に出る言葉はただ一つ。
「ちょっと!どうして勝てそうなこと言ってくれなかったの!!」
「あの焦りよう、面白かったで~す!」
ムキーーーー―ッ!!
一言ガツンと言ってやろうと思ったのだが、まあもう少しで勝てそうなところまで戦争を進めたのがレイナというのは紛れもない真実なわけで、ここで怒るのもひどいかなと思った。
ひとまずは詳しい被害の状況をフィネメイゼに聞くことにする。
「まず、こちらの死者の数ですが、死者が13人でいずれも騎士団に所属している者です。対するケルスレイド帝国側ですが、死者はわかっている限りでも1万は超えているかと。」
13人!?
よく23000の軍勢を相手にここまで被害を軽微にできた。その13人も最後まで戦い通してくれた英雄だ。王城の中に墓を建てよう。
「で、そのほかの被害ですが……」
「ん?被害は?」
「無しです。」
なし!?!?
確かに飛んでいるときに被害が一切ないのはわかったけど、そんなに圧勝だったの!?いやいやいや、相手はこの大陸でもっとも強いといわれているケルスレイド帝国だぞ!?
「あはは、うちの騎士団凄いねぇ!」
いやいやいや、なんでレイナはそんなに……
まあ、勝てたからいいのか?
「講和の方終わりました?」
一通りの報告を聞いた後、今回の私がやったことについて話した。
詳しい講和の条文に関しては持ってきた書類に目を通してもらうが、口で説明できる部分は口で説明だ。
「金貨9万枚、ですか……」
「どうだ!すごいだろ!」
われながら頑張ったと思う!
堂々とない胸を張ってみるのだが、2人の反応はいまいちであった。
「殿下、あなたならどのくらいいけますか?」
「そうだね~、2倍とか?」
「ですよね~……」
にばい
にばいッ!?!?
「えっと、これからこのようなことがあった場合は、私たちをしっかり呼ぶようにお願いいたします。」
「は、ひゃい、すみませんでした……」
続いて獲得した領土だが、それはなかなかよくやったと思うということだ。これ以上広いと管理することが大変だし、なかなかに資源の眠っている地域だから利用価値が高いとのこと。
領土の管理をどうするかに関してはおいおい考えることにする。
「で、今回思ったんだけど、もうちょっと騎士団を大きくした方がいいなと思ったの。」
「あ、それは私も思いました。」
23000に対して1800というのはいくらなんでも少なすぎる。新たに領土も獲得したのだから、もっと騎士団は必要になるだろう。
急速に勢力を拡大しているこの国をよく思っていないものは多いはずだし、連合を組まれてこちらに攻め込まれては太刀打ちできない。
「じゃあ、軍備の増強に関しては任せてもいい?」
「はい!」
どうやらレイナは騎士団の扱いが上手らしい。レイナに任せておけばいい感じに騎士団を編成してくれるはずだ。
まだまだやることはいっぱいだが、戦争のことに関してはとりあえずこのくらいにして、ここから本格的に冬支度に入っていかなければならない。
すでに気温は非常に低くなっており、本格的な冬の訪れまでは猶予がない。今回はフィネメイゼが領地には戻らないようだから、そこらへんは大丈夫なのだが、新たに加わった元ケルスレイド帝国の領土は冬支度が間に合っていないはずだ。
せっかくたくさん領民が増えたのに、死なれては困る。国民は皆私の守るべき宝だ。
たんまりと得た賠償金をフルに使って支援をしていかなければならない。
おそらくこれからも戦争をかけられることがあるだろう。
この国は大きくなってしまった。もともとは譲り受けた小さな領土だけだったのに、1つの国と大国の領土を獲得した。今となっては大陸の中でも相当大きい国の一つだ。
新しく出てきた国が急速に発展をし、国土を広げている。他国から見れば侵略の何物でもない。
ただ、私は人を殺したいわけでもないし、何か極悪非道なことをしたいわけでもない。
私にとって過ごしやすい世界を、この世界に生きる者たちに平和な世界を作りたい。
大きな目標かもしれないけど、挫けずに頑張っていきたいな。
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『ちょっと神様!私もうステータス調整されてるんですが!!』を読んでくださりありがとうございました。突然ですが、この作品はこれにて終了となります。
私のモチベ的な部分で話を続けるのが困難になってしまった、ネタが思いつかず、執筆が進まないなどの理由です。ちょうど切りも良かったので。
国家運営系の別の作品を先日始めました。もしよかったら読んでみてください!
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