第一話

今日もおねいちゃんにカーテンを開けられた。

「朝だよ!早く起きな泉。遅刻するよ~」「おねいちゃん~大好き~」「ありがと~でも早く起きて。もう7時過ぎてるよ。」「え。なんでもっと早く起こしてくれなかったの」「ごめんごめん。でもお父さんが車で送ってくれるって!よかったね~」

いつもこうだ。私はダラダラ制服を着て、準備をして一回に降りていく。

「おはようお母さん」「おはよ~泉。今日の朝ご飯は~泉の好きなオムライスだよ~」「おはよ~お寝坊さん。そんなにお父さんに送って行ってほしいから遅く起きるのか~嬉しいよ~お父さん」「そうなの~じゃあ毎日送ってくれる?」

そんなたわいもない話をして、8時5分にはお父さんと車に乗って。学校に着くともうクラスのみんなは、ほとんど来ていて友達と話していたり、本を読んだり,勉強していた。席に着くとちょうど先生も入ってきた。「みんな。おはよう!」と朝にはふさわしくないくらいのでかい声でさっき起きたばかりで寝起きの私の体は震えるくらいだった。それでも声のボリュームはそのままで先生は話を続ける。

「みんなはもう18歳だ。この日本という国は18歳になったら特別なことができるそれは何かな?」「そうそれは選挙権が持てることだー」

先生がいきなり年の話をしたのはそれかと納得した。そういえば今日はクラスで最後の誕生日の子が18歳になる日だった。でもその子は今日は欠席だ。きっと家族でどこか行ったりしてるんだろうなと考えていると、あの体を震わせるような声が

「みんな、あと3か月後にある選挙に必ず行くように。それと・・・」

選挙・・・か。もうそんな年なんだ。私。昼休み親友の愛実と茉耶とご飯を食べながら今日のHLの話をした。「愛実と茉耶は選挙行くの?」「私は行かない。茉耶は?」「うちは行こうかなと思ってた。泉は?」「どうしよう。迷ってて二人に聞いたの。愛実は何でいかないの?」「えっと~ほら!今ってさ私たちの世代より高齢の方の世代の方が人数が多いでしょ。だから私たちの世代が投票してもなんか意味ないんじゃないかなと思って。」「へ~愛実って意外と真剣に考えてんだ。ふぅん~」「なんだその茉耶に反応は~」私はそんな可愛い2人の会話を聞いているだけだった。家に帰るとテレビにニュースでも選挙の話題になっていた。「選挙。泉も行くの?」「そういうおねいちゃんは行くの?」「私は行くよ!意味がなくてもね。」そんなおねいちゃんからの返事は今日の会話をすべて知っているみたいだった。「おねいちゃんは泉と選挙行きたいな~」そう言われて私は行くしか選択肢がなくなった。

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