第12話あのコはまだ元気かい昔の話だね

20代から30すぎまで。普通の人の青春時代に豪志はずっと寝たり起きたりの廃人で。近所からも親せきからも家族からさえ蔑まれ疎まれていた。


あの頃は松戸の町を徘徊するのが日課だった。若いから成立していたような生活で。40代の今だったら死んでいたと思う。


電器屋さんに寄ったら「万引きしたでしょ!」と言われた。


コンビニやスーパーに寄ると不審者扱いされる。


創価学会員が集団で豪志の自宅まで押しかけた。「あの家は弱ってる。狙い目だ」という噂が広まったのだ。


空き巣が繰り返し侵入した。


近所の連中からは「お前のウチの息子はどうなってんだ」と母親が吊し上げにあった。


「ニート」だ、「引きこもり」だ、「キチガイ」だ。様々な罵詈雑言を浴びた。母親は弱い人間だった。父親がしっかりしてなければとっくに一家心中していた。

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