第9話  放課後は…

放課後、私は手紙の最後の文通りに校舎裏へ

また行く–––

のではない。私はトイレの鏡の前で髪を三つ編みし、メガネをかけた。私が見ても知歩だと思う。

私たちは双子、顔がそっくりだ。

違いは性格と外見だけ。

でも、外見は変えられる。

私は動きやすいポニーテールに対して

知歩は三つ編みで2つにまとめている。

それから、知歩はメガネをかけている。

外見は、「誰か分からないから困る。」と、

両親が言ったために変えた。

髪の長さは双子だからかそれぞれが

ちょうど良いと感じる長さがほぼ一緒だった。

だから、髪を三つ編みにして

以前、遊びで買った似たようなメガネをかければ

私はもう知歩になっている。

私の隣に並んで立っている知歩は、

髪をポニーテールに、メガネをコンタクトレンズに

変えた。すると、私の隣には菜歩の姿をした知歩が現れた。沈黙のまま、知歩、の姿をした私は

トイレから出る。


歩きながら少し前のことを思い出した。

「その格好、地味じゃない?」

と、知歩に聞いた日のことだ。

知歩によると少し地味な格好をしておけば、

ギャップ萌えができるからということらしい。

おとなしい見た目の子がメガネを外すと

実は可愛かったー!

みたいなことをしたいんだって。

そうゆう効果もあるらしく、知歩に色々説明された。けど、覚えてない。

いつもと違う一面に男子はドキッとするんだって。

それを知歩はわざと地味な格好をして

メガネを外したときにかわいいって思わさせて

興味を持たせるそう。

そんな自信満々な知歩だけど

上手くいくのかなって思っちゃう。

でも知歩は一つでもできることが

あるならすることが大事という。

そして、知歩と違って別の人のふりをする演技が

出来ない私はボロを出さないようにするため、

誰にも会わずに家に帰った。

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