第58話 帰還

「はっはっは、慌てとるお前ら、本当にぶふぉっ…ふぁっっふぁ、はひっ」

 ツボってる王様とか結構レアだよね。

「…ッはー、カイムの対応ご苦労!」

「あ、ありがとうございます?」

 金属音を奏でながら勢いよく頭を下げるモブ騎士さん。耳が痛ぇぜ!


「カイムよ、倉庫があるからそこまで来てくれ」

「はい!」

 念願のゴミとご対面できるなんて…!!

 僕はドーズさんのあとについて、倉庫へ向かった。

「馬車を用意したほうがいいな?」

「いえ、大丈夫です」

「そうか、じゃあ、全部持って行ってくれ」

 ドーズさんが指差しした先には、巨大な倉庫が四つ。


 全部大きめの体育館レベルの大きさがある。王国のゴミ、いつもどう処理してんのかな?

「あ、扉開くとゴミが噴き出してくるから気をつけろよ?」

 どうやって入れたんだよ。

「…マジすか…」

 では、失礼します…。

 僕はそっと扉に触れ、中に魔力を流し込む。

 中のゴミをプラスチックの大きめのケースに変える。ニ●リとか、カ●ンズで売ってるやつ。あれ便利だよねー!

 余ったごみは全部綿にして、圧縮してからケースに入れた。


 そのあと、扉をそっと開くと、結構綺麗にまとまっていたケースが三つ。

 感覚だけでよくやった、僕!スゴイ僕!さすが、僕!

 他の体育館もとい倉庫も、同じようにして、外にまとめて置いた。

「ドーズさん、ありがとうございます」

 僕は外に出したケースを横目に、恭しく礼をする。本当に感謝だよ!

 作れるもの増えるし。


「ははは、礼などいらん。余っていたからな。むしろこれからももらってくれると助かるのだが?」

「…いいんですか!?」

 半分押し付けられてる気がするけど…。

 ”押し付けられてますよ?”

 ですよねー。


「ゴミなど何にも使えないからな」

 リサイクルっている概念が無いのかな?

 まぁ、もらえるだけありがたいけど。

「じゃあ、またゴミが溜まる頃に来ますね!」

 なんだか変なお別れだけど。

「おう!気をつけてな!」

 僕は浮遊魔術を発動し、ドーズさんのもとを離れ、ピーノが待っている(と思う)馬車乗り場に向かった。



「あっ、カイム様ー!!」

 ピーノが大きく手を振って僕を見上げるピーノ。

「ただいま!!」

「お疲れ様です、カイム様。あのぅ、後ろの箱は…なんですか…?」

 僕と一緒に飛んできた12個のプラスチックケース。

「ああ、王様からもらったゴミだよ!」

「…あぁ、そうですか」

 あきれた目を向けられる。僕そんな変なことしたっけ…?


「とりあえず乗ってください!早く帰りましょう!カイム様も驚いちゃいますよ!」

「な、何が?何かあったの!?」

 背中を押されて、ノンステップの馬車に押し入れられる。

 ピーノがケースをうまく全部乗せてくれた。サンクス、ピーノ!!

「まぁまぁ、見てからのお楽しみですよー!」

 儀式に行くときの準備をしてくれたピーノ以上にハイテンション。


「馬車動かしますよー?」

 運転手さんが僕たちに確認を取ると、猛スピードで馬車が動き出した。

 僕の向かいに座ったピーノは、コホン、とわざとらしい咳をして、僕を見つめる。


「…、カイム・セルトファディア男爵様。男爵の称号の授与、おめでとうございます」

 立ち上がって、メイド服の裾をもち、カーテシーをする。

 僕は、綺麗だ、と本能的に思った。恋愛的な意味じゃないよ?

 ”チッ”

 舌打ちすんなや。


 するとピーノは顔を上げて、ニヤッと意地の悪そうな顔を僕に向ける。

「さぁ、御父上への逆襲を始めましょう!」

 思いっきり腕を振り上げてガッツボーズをして見せた。


「うん!」

 僕も立ち上がって、腕を天井に向ける。

 本来の目的ではないけれど、いい領地にしていく過程で、何かガツンとやってやりたいなぁ!復讐劇っていうのかな?

 僕たちは目を合わせて、噴き出して笑うと、ソファーにドスンと座った。

 そのあとも、僕たちはネンガ村につくまで、ずっと笑っていた。


 実はピーノが、腕を振り上げたときに天井に手をぶつけちゃって、赤くなったて手をさすりながら、半分、涙目で笑っていたのは秘密だけど。




 いやー、なんか最終回みたいになっちゃいましたが、全然続きます。

 あと、テストがもうすぐです。もうヤダ…勉強したくない…。

 

 ブックマーク900ありがとうございます!!嬉しすぎて泣きながら勉強してました。

 ♥や★が勉強の励みになっています!!

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