とあるイケメン童貞の苦難
バネ屋
プロローグ
#01 イケメン小学時代
俺の名前は、西尾マゴイチ。
悩める思春期真っ盛りの高校入学したての15歳。
俺は15歳にして1つの真理に辿り着いた。
「可愛い女の子は、浮気する」
特におっぱいが大きい子は要注意だ。
悟りを開いたとも言えるな。
唐突だが、俺は容姿に恵まれていたお陰で幼少期より兎に角モテた。
しかし、俺の十代前半は決して光り輝く幸せな青春では無く、裏切られ続けたドス黒く血塗られた悲惨な物だった。 俺自身は1滴も血を流してはいないが。
幼稚園、小学校低学年の頃は、どこに行っても大人や年上の女性に「可愛い可愛い♪」とか「お人形さんみたい♪」とキャッキャ騒がれ、その度に顔が赤面したのを覚えている。初心で純情だったからね。
小学3年の時、2つ年上の幼馴染のアフロ(あだ名)の影響でサッカークラブに入りスポーツ少年になると、「可愛い」が「カッコイイ」に変わり、同級生の女子からモテる様になった。
クラブでは5年生になるとレギュラーになり、試合がある度に女子が多数押しかけ黄色い声援で
そんな小学生時代も6年生になると彼女が出来た。
周りには男女交際をしている様な友達は居らず、しかも彼女はクラスで一番可愛い子だったので子供ながらも優越感を感じた。
彼女の名前は『アンナちゃん』
小学生なのにくりんくりんに巻いた髪をツインテールにしてて、ぱっちりお目目と長いまつ毛に真っ白い肌してて、お人形さんみたいな可愛い顔してるのに周りの女子よりも胸の発育が早く、小6で既にEカップはあるという噂のいわゆるロリ巨乳な女の子。
そのアンナちゃんの方から「カッコイイマゴイチくんが大好きです。マゴイチくんの彼女にして下さい」と告白されて、迷うことなく即答でOKした。
アンナちゃんはとても甘え上手で、学校ではいつも一緒に居て、友達の前とかでもデレデレあざとく甘えてて、クール気取って恰好つけてた俺でも頬が緩むこともしばしば。 学校以外では俺はサッカークラブがあったから中々会えなかったけど、週末休みの日とかはアンナちゃんがウチに遊びに来たり、俺がアンナちゃんのおウチに遊びに行ったりもした。
そんな感じで小学生のクセに恋人との楽しい日々を過ごしていたある日の夕方、かーちゃんから「今日の夕飯、手巻き寿司にしようと思ったら海苔とお酢が切れてたから、マゴイチ買って来て」とお使いを頼まれた。 サッカークラブから帰って来て疲れているところだったので「海苔もお酢も無いのに何で手巻き寿司に踏み切ったんだよ」とぶつくさ文句を言いながら自転車に乗って近所のスーパーまで出かけた。
買い物を済ませて帰る途中にある公園で、偶然アンナちゃんを見かけた。
アンナちゃんは、中学生の制服を着た男子と二人でベンチに座っていた。
「中学生の友達なんか居たんだ?」と気になってしまい、自転車から降りて公園の外から隠れて様子を伺うと、二人は抱き合ってキスを始めた。
「なんだと!?小学生のクセしてキスだと!?」とキス未経験の俺が動揺していると、その男がキスをしながらアンナちゃんの胸を服の上から揉み始めた。
そこでプッツンした。
公園の柵よじ登って飛び越えて、猛ダッシュで男の背後から無言でドロップキックを喰らわせて、吹き飛んだ男をひたすら蹴り続けた。勿論容赦なくトゥキックだ。
何分蹴り続けたか分からないが、その男は「ごめんなさごめんなさい」と繰り返しながら泣きだして、それ見て少し冷静になって周りを見渡すと、アンナちゃんは姿を消していた。
「コイツ、見たことあるな。確か同じ小学校で2つ上だっけ。ということは今はアフロと同じ西中(地元の中学校)だよな」と気づき、スマホでアフロに「アンナちゃんが中学生と浮気してた。いま近所の公園でそいつお仕置き中」と報告した。
アフロは中学ジャージ姿で自転車に乗って3分でやって来た。
アフロはソイツの泣いている姿を見た途端、スマホでカシャカシャ撮影し始めた。
「コイツ、同じ西中でしょ?」
「おう、同じ2年だね。前からなんかイキってて気に入らなかったんだよねぇ。 小学生にケンカで負けた雑魚ってことで早速拡散!」
「んじゃ帰るか。今日手巻き寿司だけど、アフロもウチ来る?」
「行く!いくいく!おばちゃんのメシ、美味いんだよな!」
こうしてアフロの拡散のお蔭で浮気相手だった中学生は、イキってたくせに実は超弱いヤツだと学校中からバカにされ、アンナちゃんも次の日に俺が嘘泣きしながら浮気されたことをクラス中に説明して回ったから、みんなから「小学生のクセに二股してた将来有望なビッチ」と噂が広まり、誰からもチヤホヤされなくなった。
だが俺の方も「ツンデレだと思ったら、キレると暴れる王子」と不本意なイメージが付いてしまい、小学校を卒業するまで女子から告白されることもバレンタインのチョコもピタリと無くなってしまった。
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