一日一首(令和四年一月)
初茜に木々の冠雪(かむりゆき)ほのと白む新しき筆にて年初の短歌(うた)を
雪ふみて天満宮へ詣づれば執筆初めは淀みなからむ
五冊目のキンドル本を上梓して六冊目に向け筆執り始む
初夢に詠みたる短歌(うた)の目覚めにて消え去り願ふ夢の録画を
百五歳の媼の胸にステトあて「元気な音だ」と御用始めに
大晦日にバリカン使って頭スッキリ、‘小寒’の今朝「やや、早まったか」
寒に入り雪はひたすら降り続き除雪の壁は背丈超えむとす
「七草よ」と妻の作りし〈けの汁〉にほんのり香る亡き母の味
〈寒〉にこそ朝陽にむかひ手をあはせセロトニンふやし健脳たもたむ
寒中に小雨まじりのプラス二度。春の気配は妄想なるか
凍て道に転ばぬやうに手をつなぎ老いの散歩の意外に楽し
雨のなか雪どけ道にしぶきあぐるスノータイヤの音たのもしき
猛吹雪に煽られながら背を丸めフードをおさへて回診にむかふ
除雪車の置土産の氷壁かたづけし額に舞ひくる雪片すずし
雪庇こゆる地吹雪を突き進むタクシーはさながら風洞実験
山茱萸の冠雪はらへば萎びたる赤き実のそばで既に蕾が
寒中の小雨に山茱萸の黒き肌うちしめりゐて妖艶なりき
雪道の轍に振られしタクシーを降りるや否や目眩(めまひ)に襲はる
満月の惜しげもなく照らす雪道を揺られて帰る タクシー温し
朝陽さす雪原にわく朝霧に厳然と浮かぶ蒼き岩木山
大寒なり 昇りくる日に手を合はせ延命十句観音経唱ふ
大寒にてさむさ底うち今日からは「三寒四温」とはや春を恋ふ
三月ごとのデンタルケアの予約せしも滑る雪道に田沢歯科とほし
九十七歳の現役ナースの手記を読み「死ぬまで働く」の意気に魂消ぬ
不安なり短歌教室ものぐさの二日続きの急な休みに
なにごともなかりし由に斧正請ひて謝意籠め今日も短歌を一首
わが市にも「蔓延防止等指定重点措置」とぞ。神仏を頼みに今日も職場へ向かふ
ピンポ~ンと子らから祝ひの届きたり。あと数日で七十四歳とは
ひさしぶりの地吹雪に遭ふ通勤なり津軽の冬の掉尾たるべし
屋根雪のすべる快音、寒中にハエトリグモもすばやく動く
七十四年経て〈姙産婦乳幼兒手帳〉は黄ばみけり。赤飯そなへて仏壇に掌(て)あはす
服薬やめ低血糖症状の消え去りて老医のわれに気力よみがへる
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