第59話 リベンジマッチ

 それからも僕はバーチャルモンスターと戦い続けた。


 防御力に特化したモンスター、スピードに特化したモンスター。

 様々なモンスターと戦った。


 今までのレベルアップのために何体も倒した、突っ込んでくるだけのモンスターとは違い、どのモンスターも単純な攻撃では勝てない知能の高いモンスター達だった。


 たまに危ない時もあったが、もう同レベルの賢いバーチャルモンスターでも負けることはなくなった。


 成長したのが自分でも分かる。

 モンスターの動きを観察し、裏をかく攻撃。

 ネクロマンサーや魔王の分身との時のような頭脳戦の戦いだ。



「ふふ、そろそろ行ってみるか……?」

「そうね」

 アスカさんとサクラちゃんが何やら話している。


「ふう……さあ、次のモンスターはなんですか?」

 バーチャルモンスターが召喚されるのを待つ。


 しかし、いつものようにモンスターは現れず、扉が開く。


「え? サクラちゃん?」

「なによ? 文句あるの?」

 いきなり部屋にサクラちゃんに入ってきて驚く僕。


「ま、まさか、これはバーチャルサクラちゃん!? 最新テクノロジーはすごい!」

「そんなわけないでしょ! アタシは本物よ! どれくらい成長したか確かめてあげるわ」

「なるほど……僕にとってはリベンジマッチってわけだね」

 少し前までサクラちゃんには手も足も出なかった。

 どれくらい強くなったか試すチャンスだ。


「さあ! かかってきなさいよ!」

 サクラちゃんが剣を構える。どのバーチャルモンスターよりも威圧感を感じる。

 前回、股間を蹴り飛ばされた恐怖に内股になりながらも構える僕。


「キモい立ち方ね。アタシから行くわ!」

 サクラちゃんがすごいスピードで向かって来る。


「は、速い!」

 バーチャルモンスターでも速いモンスターはいた。

 しかし、このスピードに敵うモンスターはいなかっただろう。


 サクラちゃんは僕に斬りかかる。

 僕が受け止めようと剣で防ぐが、その時、すでにサクラちゃんの姿は前には無かった。


「甘いわね!」

 背後からサクラちゃんの声。

「フェイント!?」

「くらいなさい!」

 目の前にいたと思ったら、あっという間に後ろに回り込まれていた。

 やはりすごい戦いのセンスだ。

 しかし、あの時の僕とは違う!

 僕は背後からのサクラちゃんの攻撃をかわす。


「えっ!?」

 以前までの僕なら今の攻撃でやられていただろう。

 バーチャルモンスターとの戦いを経て、ハイレベルな戦いが体に染みついていたようだ。


「ふ……少しは成長したみたいね……」

「サクラちゃん! 今度は僕からいくよ!」

「来なさいよ! キモオタ!!」


 サクラちゃんめがけて飛び出す僕。

 さすがに魔法は危険だろう。剣だけの勝負で勝つんだ!

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