第11話
シーナさんの店は、二階建てだ。
その二階の部屋で、カーテンの隙間から街道を確認する。
「……ゴブリンを視認しました。街中に入られていますね」
「もうかい? さっき、大きな音が聞こえたばかりじゃないか?」
「街道以外の場所から侵入されたんでしょうね。数百匹が街を囲むのであれば、柵を乗り越えて来る個体も多いですよ。街道から隊列を組んで来るのは、人間くらいかな」
シーナさんは、真っ青だ。
さて……、私はどうするか。
街中での戦闘が、始まった。
冒険者は、はぐれない様に数人で行動している。
「……知識の共有は、できていそうだな」
一対多でなければ、ゴブリンはそれほどの脅威じゃない。
討伐は、順調そうだった。
そう思った時だった。
派手な音がした。そちらを確認する。
「ホブゴブリンか……」
私は、シーナさんを置いてホブゴブリンに向かった。
「身長は2メートルくらいで、鈍いが膂力がある……。そして、知能は低い」
まだ、漫画にしていない知識を再確認する。
4人の冒険者パーティーが相手をしていた。
棍棒で地面を叩かれるたびに、地震が起きる。
「一度下がってください!」
私の大声に、冒険者パーティーが従ってくれる。
私は、大量の紙をバラ撒いた。
「念動力発動!」
紙がホブゴブリンを襲って行く。
そして、顔に張り付き出した。
数枚は落とされたけど、視界を奪い、鼻と口を塞いでいる。
ホブゴブリンは、紙を剥がそうとして必死だ。
だけど、その一瞬で十分だった。
一人の冒険者が、背後に回り脊髄を切断した。
ホブゴブリンは、まだ生きているけど、もう動けそうにない。
「そいつは、次期に息絶えます。それよりも、街の中心に行きましょう。餌に食いついているかもしれません」
冒険者達は頷いてくれた。
◇
私は、実際のところ戦えない。一応、包丁を持って来たけど、ゴブリンを倒せると思えるほど自惚れてもいない。
冒険者に守られながら、街の中心へ移動した。
街の中心には、私が作った炊き出し用の料理が並んでいた。
それに群がっているゴブリン……。
知能がありそうだったけど……、そうでもないかな?
「思ったよりも多いですね……」
「ここまで侵入されちまったか。ジャンヌさん達が戻って来るまで持つかな……」
時間との勝負だな。
「それで……、どれくらいで効くんだ?」
「十分程度と聞いています」
私が、そう答えた時だった。
ゴブリン達が、お腹を抱えて蹲り出した。
「あれが、採集で間違って採られていた毒草の効果になるんですね……。ギルドが過敏になるのも納得です」
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