僕の妻は元亡者

青山 忠義

第1話 冥婚ってなに?

 僕は小学一年生のとき結婚をした。

 もちろん、本当に結婚をしたわけではない。小学生に結婚などできるわけがない。

 そのとき、僕は夏休みで、九州の山の中にある母さんの実家で過ごしていた。

 僕はそこで山へ行ったり、川へ行ったりして楽しく過ごしていた。

 そんなとき、母さんが僕に難しい言葉を言った。


 冥婚。


「めいこんってなに?」

 僕がそう聞くと、母さんは説明してくれた。

 だけど、難しくてよくわからなかった。

 僕がわかったのは死んだ子が天国に行くときに、うその結婚をして一緒に行ってあげると、うその約束をしてあげることだということぐらいだ。

 そして、死んだのが村長さんの娘さんだから男の僕がおむこさんに選ばれたらしい。

 僕はよくわからないけど、なんとなく面白そうだったので「いいよ」と母さんに言った。


 母さんに手を引かれて行った村長さんの家はとても大きかった。

 村長さんの家に入ると、僕は村長さんのきれいな奥さんに七五三のときに着たことのある紋付袴を着せてもらった。

 そのとき、村長さんの娘さんの名前が「澪」という難しい字を書く名前だということと、おばあという人がどうしても僕じゃないとダメだと言ったということを教えてもらった。

 着付けが終わると、僕は家の一番奥の部屋に連れて行かれた。

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