第588話 バイク

 彼女とタンデム。


 彼女の温もりが、背中から伝わってくる。


 僕の腰を抱く両腕から、背中に当たっている胸から――。


 感情が伝わってくる。


 多分、今が一番彼女と距離が近い。


 バイクのエンジンと、僕の胸の鼓動が共鳴する。


 熱くなってきた僕の体を、顔を――。


 冷ます風が、心地よい。


 カーブで体を傾けると、彼女も傾けてくれる。


 自然と、バイクと、彼女と。


 ――今、一体化している。

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