第575話 アイスクリーム

 帰省をするとき、方向が一緒だからとサークルの女友達と一緒に帰ることになった。


 サービスエリアで休憩をしていると、彼女が売店でアイスクリームを買ってきた。


 箱に小さいアイスが何個か入っている有名なお菓子会社のやつだ。


「暑くなってきたから、冷たくて美味し~」


 口に入っているにもかかわらず、もう次のアイスをピンで刺している。


 食い意地張りすぎだろ……、と言おうと彼女の方を見ていると、彼女がそのアイスをこちらへ向けてきた。


「運転ありがと。はい、あーん」


「なっ!」


「ふふふ。ごほーび。アイスも、あーんも」


「ありがと」


 少し恥ずかしくなりながら、火照った顔を冷ますために、アイスを口に入れる。


「男の子って、こういうのすれば喜ぶって聞いたから」


「こんなこと、いろんな人にしてないだろーな。よくないぞ。ほんとに」


「君が初めてだし、君意外にするつもりもないよ」

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