人生
連喜
第1話 人生を振り返る
最近、一か月があっという間だ。
職場で毎年やってる点検などが、今年もあると、もう一年経ったっけ?と驚く。ビルの法定点検が年一回ある。
こういう繰り返しで気が付いたら50になっていた。
小学生までのことはほとんど覚えていないが、1日がすごく長かった。学校が終わって、外で遊んで、家に帰った後も、テレビを見て、漫画を読んだりしていた。しかも、睡眠時間が長いはずだから、起きていた時間は今よりも短い。今考えると不思議だ。
この現象は、知らない場所に出かける時、行の道は遠く感じるけど、帰りはあっという間と感じるのと同じらしい。俺たちは大人になると人生に慣れてしまって、惰性で生きているから、時間の流れが速く感じる。この話は、学生の頃に現代文の問題か何かで読んで、今も記憶に残っている。しかし、俺は自分を変えようとしなかった。
中・高の頃のことも忘れた。
大学時代のこともバイトが忙しくて、何を勉強してたかもよく覚えてない。
しかし、20代のことは比較的覚えてる。新卒で就職した会社のこと。そこをやめて引きこもりになったこと。また働き始めて、いろいろな職場で働いたこと。
30代前半で、外資系の殺人的に忙しい会社に入って10年働いて、その辺の記憶はほとんどない。小さい会社の社長くらいに稼いでいたけど、不動産を買ったから、金もあまり残っていない。
やることはやってるけど、もともと女性と付き合ったことがなく、結婚はしなかった。
その後、40代半ばで最後の転職と思って、日系の暇そうな会社に転職した。
給料は半分以下になったが、かなり気楽に働いている。
そしたら、50を境に物忘れがひどくなってきた。
前にできたことをうっかり忘れてしまう。
男性更年期だろうか。
俺が過去のことを忘れているのは、長く付き合っている友達が一人もおらず、昔のことを一緒に話す相手がいないせいもあるし、過去に浸るために、その場所に行ってみようというタイプではないからでもあると思う。
普通に歩けて喋れる時間があと20年としたら、この恐ろしく短い1年をあと20回やったら、俺はもう痴ほうか寝たきりになっているかもしれない。
人生は本当にあっという間だ。
特に、心の病気や、育児、介護なんかがあると、毎日は飛ぶように過ぎて行くだろうと想像する。
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