第03話 現実放屁

EPISODE:03

豚の骨が溶けるまで煮込んだ裏通り


コッペパンにゆで玉子をマヨネーズで和えた具材を挟んだ総菜パンがあるが、それに近い放屁をかます日がある。当日は多分、玉子料理だったのだろう。

とんこつラーメン専門店の裏通りを進むと、獣が虐待を受けているような「異常臭」が拡がるが、要するに豚の骨を親の仇位に入念に煮込んだ結果なのだろう。

「旨いとんこつラーメンを喰いたきゃ、店の裏通りを回れ!」

みたいな標語は果たして成立する?


精神科に3回目の入院をしていた時、そこに「拒食症」の方も含まれていることに気付かなかった僕は、少なくとも同室の人の箸が進まない原因は僕自身なんだ、と勝手に思っていた。

食べた量を記録する時に「0割です」と報告する人が居たのも印象的。

気分が弱っている時は「自分のせい」「自分が悪い」と、自身に責任転嫁する悪癖があったので、少しずつ退院日が遠のいて行った。


僕は観察室と言う六人部屋の真ん中に居て、年配の男性の「咳」が心配だったけど、空調のせいと言うよりも「異臭」「悪臭」のせいだと思い込んでいたので、申し出ることも出来ず空調も室温を下げっ放しだった。


屈辱でしかない4回目の入院時も、僕は六人部屋の観察室の手前右隅に居た。

食欲増進剤を投与されていたので、三食の食事は秒刻みでその瞬間を待った。

家族から小遣いも貰っていたが、如何に安価で腹に溜まるか? がテーマだったので、コーンスープの袋を40円でチロルチョコの親戚みたいなのを20円で買った。


4回目の入院時は「拒食症」についての知識もあったし、大切なのは如何に自分自身が美味しく満足する食事の仕方を全う出来るか、だった。


看護師さんで激しく咳込む方が1名おられたが、持病だと説明を受け、部屋を隔てても無関係に咳をされていたので、そう言う因果に苦しむ回数も減った。

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