駐車場

桃姫

第1話 駐車場 8/27

また、土曜日の昼間の事だった。

手を洗うために私は、近所のホテルに入ろうとしていた。コンビニや飲食店、郵便局などが併設されていて宿泊者以外にもよく利用されるホテルだった。


私がホテル入り口の目の前に来たところで、青いスポーツカーもホテル目の前に停まった。あまりに目立っていたのでチラッと見たところ、彼だった。

私はパニックで入り口の窪みを探し一瞬隠れてしまったけれど、隠れれるものでもなく直ぐに諦めた。

彼の見える所に行き軽く手を振った。

おー!車停めるから待ってろ。

彼が車を停めて出てきた。

久しぶりだね!複雑な気持ちだったが単純に嬉しかった。もう会うと思っていなかったので、恐らく話す内容なんて考えたら幾らでもあるのに全く思いつかなかった。

彼が色々質問してくれた。いつもと全く同じテンションで戯けている。

前の様になっては絶対に駄目。そればかり頭の中をグルグルしていた。なるべく、距離を保って接したけれど彼からの距離感が近い為飲み込まれそうだった。彼は私が元彼とヨリを戻すのを知っていたので、私が今から友達とランチ!と言ったら、あぁ彼氏か。と…

わざわざ声に出さなくても良いのにと思った。


俺、もう行った方がいいか?

いつも私に決定権を渡す…私の気持ちを知っているくせに意地悪だなぁ。


どこ行くの?


プールプール。


そうだった、彼は毎週このホテルのプールで泳いでいる。


プール行ってきな!

強めに促した。


おぅ、じゃあな。元気でやれよ!


うん。バイバイ!

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