織姫は美しい夢を織り続ける

 君は孤独な機織り女


 ひたすらに夢を紡ぎ続ける


 光を失ってもなお


 君の目は輝きを湛えている




 荒れ果ててしまった浮世の姿は 余りに醜くて


 君は見る事を止めた


 そして 美しい夢だけを心に映すのだね


 美しい夢だけを




 意味のない夢


 価値のない幻


 でもそれは浮世も同じ


 意味のない力


 価値のない物


 ならばせめて より美しい夢を




 僕は孤独な小提琴ヴァイオリン弾き


 ひたすらに夢を歌い続ける


 言葉を捨て去ってもなお


 この弓は想いを語り続ける




 焼き尽された大地に咲く 一輪の花を


 僕はそっと摘み取った


 そして 儚い夢だけを心に抱くのさ


 儚いこの生命で




 意味のない力


 価値のない物


 もう今は欲しくなどない


 意味のない夢


 価値のない幻


 それらだけが 僕たちを癒してくれる




 君は孤独な機織り女


 美しい夢だけを織り続ける


 僕は君のそばで


 届かぬ想いを奏で続ける




 悲しい現実は見たくない


 だから 美しい夢を




 もう眠りたい


 だから 美しい夢を

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