希望

 正義はいつも無力だった


 力を持つ者は悪者ばかりだった


 道徳が綺麗事以上であった事などなかった


 暴力と奸計のみが世界を動かしていた


 僕はこう思う


 きっとこの世界を創ったのは神様などではなくて……


 だってそうでなければ


 卑怯者こそが最も生き易いこの法に


 皆が従う事を強いられる


 酷い現状を一体誰が納得できようか


 最初の人間は恐らく


 悪者だった そして最初の法務官もきっと


 悪者だった 何故なら


 全ての法の手本となるべき真理が


 悪者にとって都合よく出来ているのだから


 来世に期待するのもいいだろう


 でも最後の審判や神々の黄昏だけは望んではいけない


 力によって滅ぼされた世界は


 力によって生み出され


 力によって支配されるに違いないから


 そうして僕は思い知る


 信じる事の難しさを


 それでも僕は信じ続けなければならない


 信じるという事は 信じ続けるという事に他ならないから


 そして愛し続けるだろう


 限りない愛だけが 愛を名乗る事を許されるのだから

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