ははきぎ

 完成された男を お前は望んでいる


 でも 俺はちっとも完成されていないどころか


 未だ 男とさえ認められていない




 俺は お前によってのみ完成する事が出来る


 俺の存在は お前の愛によってのみ補完される




 わかっている


 お前の俺に対する愛なんて言葉は


 永遠に実在を許される事のない


 空虚な観念だって事ぐらい


 だから せめて


 その決して振り向く事のない背中を見送るのだけは


 唯一の権利として 残しておいてほしい




 ああ もうお前の姿 見えない

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