予期せぬ追憶

 下らない問題で悩むくせに


 重要な選択では 何ら迷いがない


 昔っからそんな奴だったよ


 あいつを例えて言うなら


 フェイントをかける指揮者


 意地悪なタクトさばきが 奏者を惑わすこと惑わすこと


 俺達は いつも振り回されてた


 あいつは 自分に責任がある事を 楽しんでるフシがある


 困りものの変わり者


 でも そんなあいつの生き方に 憧れる奴もいた


 俺は そいつらを横目に見ながら


 馴れ馴れしく寄って来るあいつを 遠ざけるのが常だった


 俺はあいつが嫌いなんだと ずっと思ってたけど


 今考えると わからない


 もう長い事会っていないが あいつはどうしているだろう


 道化師になるとかいう夢は 果たしたんだろうか

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