こうして乙女は

 (じっと ぼくを見て)


 (ねえ どうして動かないでいるの?)


 (何をうろたえてるの?)


 (……仕方ないなぁ)




 そんな事 言われなくても


 ずっと前から知ってたよ 君の気持ち


 気付いてないと思ってたんだ? 随分見くびられてるなぁ


 そんなぼくは鈍感じゃないよ




 いつからって 正確には言えないけど


 いつからか 君の熱い視線感じてた


 何ではっきり言ってくれないんだろうって


 ずっと 思ってたんだよ?




 恥ずかしかった? 照れ臭かった?


 確かに 君とはケンカばっかりだったからね


 でも そんな間にだって 君の瞳は


 言葉と裏腹の想いを ぼくに伝えてたよね




 そう…… 抱きしめて


 もっと強く いいんだよ


 君がずっと こうしたいって思い続けてたように


 ぼくだっていつも この瞬間を夢見てたんだから




 君が見せる仕種 君の触れた温もり


 君が送る眼差し 君が言ってくれた言葉


 ぼくは自分が女の子なんだって事 思い知った


 一人の恋する女の子なんだって事




 ちょっと悔しい気もするけど


 認めるしかないよね?


 あんなに嫌だった「ふつうの女の子」が ここにいる


 愛するひとに全てをあずけたいって思ってる




 やっとわかった気がする


 恋をするってのが どんな気持ちかって


 このまま どこまでだって行けそうだよ


 いつでも君がそばにいるって わかるから




 (どうか この想いが)


 (いつまでも 色あせる事がありませんように)


 (どうか 君がずっと)


 (ぼくだけを見ていてくれますように)

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