無数の月

 道に迷った詩人さん


 貴方はいつも一人で歩いて行く


 多分 自分がどこへ向かっているのかさえ知らずに


 貴方はいつも 真っ直ぐに歩いて行く


 道行く人は皆 貴方を気にかける


 でも 貴方の目には誰もが追い剥ぎに映るのね


 擦れ違い様に突き飛ばして


 皮肉の歌を浴びせて去っていく




 人は貴方を遠ざけるけど


 それも貴方にとっては本望


 閉ざされた館は 誰も訪れない


 貴方の姿さえ 知り得ない


 疲れ果てた貴方はベッドの上で思う


 戦士は敵なしには生きられない


 追うか追われるかの戦場で貴方が学んだ事


 疑う事 そして 逃げる事




 癒してあげる


 貴方の傷もその心も


 私の半分は私のもの


 貴方の半分は貴方のもの


 愛は分かち合うもの


 その瞬間 私達は一つになれる


 貴方の半分は私のもの


 私の半分は貴方のもの




 誰も気付いてはいない


 皆の嫌う 貴方の歌声が


 悲しみと憐れみで震えている事に


 そばで耳を傾ける私を除いては


 貴方の冷たい背中に初めて触れてから


 今日まで 無数の月を見送って来たっけね


 二人の身体で


 触れ合った事のない場所ってあるのかしら




 癒してあげる


 貴方の傷もその心も


 私の半分は私のもの


 貴方の半分は貴方のもの


 愛は分かち合うもの


 その瞬間 私達は一つになれる


 貴方の半分は私のもの


 私の半分は貴方のもの

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