monophonie du monde

 自惚れるのも いい加減にしたらどうだ


 おまえが存在するのは偶然に過ぎないのだ


 もっと正確に言うならば


 主語におまえを置くべきではない


 真実はこうだ


 気の遠くなる程限りない偶然の重なりと繰り返しの末に


 世界の変わりゆく過程の副産物として


 偶然おまえが存在する事になっただけの事だ


 おまえが何も思わずとも 世界は変わりゆく


 世界が常に主役なのだ


 何者もおまえの幸せを望んではいない


 おまえの歩むべき道に意味などない


 存在そのものに意味が備わっていないのだから


 唯一の救いは


 おまえが自分に意味を与えるのは おまえの勝手だという事


 しかし だからといって


 世界がおまえのために存在するなどと思うのは


 甚だ愚かだ


 わたしがおまえを救うとか裁くとか考えるのならば


 これもまた間違いだ


 わたしにとっておまえは


 何の価値もない


 おまえの存在も 思考も 行為も


 わたしや世界に影響を及ぼす事はないのだ


 おまえはひとりだ

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