第12話 停学3日間
ほんと、呆れてしまった。
骨折したの、あのゴリラ直塚ではなくて、殴った方の一樹の指の骨だった。
右手薬指を単純骨折してた。
そんなんで、救急車って……。
「いや、手が痛くて蹲ったら、白井先生が呼んでくれた」
だって。
白井先生は、一樹のクラスの副担任の若い先生。そこはなとなくイケメンで高身長なので、うちのクラスの女子からも人気がある。
物腰は柔らかく、当たり前だけど頼れる大人って感じが人気の秘密らしい。
きっと今回もあの白井先生の事だ、生徒が先生を殴りつけるという状況を考えても、学校側の立場を考えても事を大げさにするとなっても、ケガした生徒、だから一樹を第一に考えてくれたんだと思う。
おかげで、うちの両親が今も学校に呼び出されているけど。
で、一樹の言い分としては、
言われたのは両親の事もあったけど、それを忘れるくらいの、一樹にとって殴り飛ばさないといけない事態だったって話。
だから学校でも、生徒が教師を殴るし、怪我人(加害者)出るし、救急車は来るし、最後は警察まで来たって。
あの後、追撃して連絡くれた美子ちゃんなんだけど、その内容によると、私が市役所を出たときには、すでに病院にはいなくて、家に帰ったという話。
指一本の、特に生活に支障の出る折り方でもなかったために、簡易なギブス処置の後、痛み止めをもらって帰って来たんだって。
で、これも後から聞いた話だけど、なんで美子ちゃんが一樹を追えたのかっていうと、この豚直塚を殴った直母、通学時だったので風紀の先生とかもいて、ぽかんとして突っ立ってる豚塚、じゃなかった直塚先生の前で、ひたすらのたうちまわってる一樹を見て、これは尋常じゃないて思った白井先生、すぐに救急車を呼んで、阿鼻叫喚と化した、パニくる生徒たちをなんとか抑えるために、玄関にとどまる事を許さず、教室へ向かわせたので、ここでこの騒ぎと他の生徒の群れと、先生の命令で、優も、翔も教室へ行かざるをえない状況になってしまって、唯一、他学校の生徒、美子ちゃん中学生だからね、その美子ちゃんだけが、救急車で運ばれる一樹を追えたみたい。その後、タクシーを使っておいかけたんだそう。
だから今は家にいて、優も、翔も両方とも来てる。
今は居間のソファーに座ってくつろいでいるところ。
二人とも部活休んで来てくれてる。
「拳って、顔面より柔らかいんだぞ、何の為のグローブやらバンテージだと思ってる
?」
って優が言った。
今の一樹の状態って、つまりは拳を割ったって形らしいの。
「直塚に何言われたの?」
って私は、一樹に尋ねる。
「うん、まあ……」
って妙に私の視線を外していうんだよね。
また、思い出したくも無い両親の事をいわれたのだろうか?
今でも深いトラウマになってる。残酷な事件だからだ。
すると今度は翔が言うの。
「いや、それは耐えたんだよな、倒れそうになったけどな」
って当時の状況を教えてくれた。
やっぱり、フラッシュバックしたんだ。体調変調をきたすくらいのショックを受けたんだ。
その瞬間、私はどうやって直塚を、証拠とか残さずこの世界から消してやろうかって考えていた。
遺体を見つからない様にすれば、完全犯罪はできそうかけど、あの無駄な筋肉だるまの体に障るのいやだなあ、って生理的に思ってる。
とはいえ、一応はまがりなりにも教師をさ、こっちが怪我したとは言え殴ってしまったんだから、それないろの処分は覚悟してる。
で、当の一樹は本当jにケロッとした顔して、まるで気にしてない様子。
それにしてもさ、温厚な一樹がさ、自分の精神的外傷を忘れるくらい怒らせた直塚の言葉ってなんだたんだろう?
率直に尋ねる。
「なんて言われたの? どうして怒ったの?」
すると一樹は、どうしてか、のぞき込むような私の視線を大げさに外して、
「いやあ、まあ、いろいろだよ」
とか言いだすから、ここに来て、何をどう胡麻化そうとしてるのよ? って思って、ここにいる誰か、何か知らないかなあって、優や翔とかに視線を向けると、あからさまに視線を逸らす翔に、気まずそうな顔している優。
でも、その優が、ちょっと気まずそうな顔して、でも意を決した様に、
「他の生徒から、一樹の近くの、たまたま下駄箱で靴を入れ替えていた女子から聞いたことなんだか……」
「言葉はわからんが、お前の事を言ったそうだ」
さすがにそれには?????
となる。
「だから、妻であるお前を侮辱した、で、一樹が怒ったって事だよ、よく知らんが、淫乱 ?とかビッチとか口汚く罵っていたらしいな、人づてに聞いたから、正確かどうかは知らん、ともかく直塚はそんな事を一樹の耳元で囁いたって話だ」
ほんとうに呆れた。
一樹、そんなんで腹を立ててたんだ。
本当に、バッカみたい。
あの筋肉だるまはさ、私達みたいに早期未成年婚する人間にはみんな、淫乱だとか色魔とかいう。
有名だよ。
ほんと、一樹ってバカ。
どうしようもないくらいバカ。
ちょっと、今日はしっかりと、その辺について、一樹と……しないとだね。
ああ、もう、みんな早く帰らないかなあ……
優と、翔に揶揄われて、一生懸命に否定する一樹。
その唇を強引に押し倒して閉じてやりたい気持ちでいっぱいになってる私がいるの。
欲情してるわたしの中に、妙に冷静になる私は、母さん達、早く帰ってこないかなあ……。
一樹の処分、どうなるんだろ? って考えていたの。
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