第7話 『プロポーズされてません♡』

7.


坂口 side:


 『手作りチョコが欲しかったです』


 俺がそう言うと、高橋さんが


 『じゃあ、来年は手作り頑張りますね』


 と、言ってくれた。



 

 その手作りに本気の気持ちが込められていたらうれしいけど

催促されたから、だけなら、つ・つらい。そう思った。


 あの後も、遠藤が高橋さんからの義理チョコを喜んで、高橋さん

みたいな人と結婚したい、とかなんとか、親しい同僚に話している

のを耳にして、俺はまたイラっとした。


 同僚たちからはただの義理チョコに何、マジになってるんだって

たしなめられていたけど。


 高橋さんと約束していた週末のデートの日に、俺はそんなやこんな

もやもやが取れないまま、高橋さんの反応が知りたくてつい、くだらない

ことを言ってしまった。


  遠藤の言動については全く知らなかったみたいで、

ビックリ顔の彼女。

 その後、俯いてしまった。


 俺はそれを見て、焦りまくり。

 無為な嫉妬で彼女を傷つけてしまったかも。


 当たり障りのないいつもの会話に持っていくと、彼女は悲しそうな

表情を一瞬見せたものの、いつもの楽し気な様子で俺との

会話を続けてくれたので、ほっとした。


 

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