第5話 『プロポーズされてません♡』

5.  


杏 side:


 そして週末、いつものように会社帰りに寄り道したカフェでの

あの台詞。


『遠藤のヤツ、高橋さんと結婚したいって言ってましたよ。

 もしかして、もうプロポーズされました? 』


 このいきなりで微妙な問いかけ。

 この中に私が望むような希望の一カケラがあるように思う? 


 彼が私との交際を考えてる、望んでいる・・というような

片鱗さえ見つけることができず。


・・どころか、恋人候補範疇外宣告された気分だ。


         ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 


今回のバレンタインデーこそ、手作りを渡せればいいのに

なんて思いつつ、踏ん切りがつかず市販のチョコにしたけれど、

今となっては本命だと分かる手作りにしなくてよかったよ。



 一縷の望みが絶たれた今・・これから彼との距離をどんな風に

とっていけばいいのか!


 ひとまずは、今までのスタンスを崩さず、過ごそう、決めたのは

そんなことだった。


        

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