Round20 循環は悪いことも循環するヨ
ともあれ、ようやくこの台の楽しいとこにやって来た。昨今のラッキートリガーがない仕様は打ち手に優しさすら感じる。
規定回数である104回転以内に1/79を引き続ける簡単なお仕事だ。引けないわけが…………いや、やめておこう。フラグになりかねん。
「あの音はまた聞けるの?」
「先バレモードにすれば」
もちろん確変中も先バレは楽しめる。
通常、違和感、先バレ、先告知とバラエティ豊かだ。だが俺は右打ち中こそ通常時を推したい。
なぜなら右打ち中のモード固定
「一緒にぽきゅ〜んってしましょ」
「えぇ……」
「負けるのが怖いのぉ?」
「はぁ⁉︎ 怖くねーし!」
人妻のしょうもない挑発に乗り普段設定しないモードへ変更しスタート。
もはや解説はない。
鳴ったら当たり、以上!
「はやいわねぇ〜」
「気ぃ抜いてるとすぐ終わるぞ」
継続率は73%と高くはない。分母以上の回転数があるとしても一瞬で駆け抜ける可能性は十分あるのだ。
────ポキューン
────ポポポポキューン
短音は冥王、連続音は俺。台枠が虹色を示すと、奇数が揃う。だが俺の台だけは、さらに奇数を切り裂く。
「いぇーい、1800発ぅ」
「えぇなにそれぇ!」
大当たりの25%が1800発、50%が900発、残りは300発と回数リセットの振り分けは、甘デジでは割と良く感じる。25%だけずっと引けば実質ミドル台である。
「うぅ〜、なんだか悔しいわ」
「当たってんだからいいじゃん」
「冥王たるわたしが人間に先を譲ることがイヤなのぉ!」
「知らんがな」
そういや冥王が出した魔法って循環すんだよな? ……右打ちも回るってことか?
────まさに予想は的中したわけで。
先バレの音が鳴ったと思えば300発の偶数揃いが並ぶのであった。
「なんでぇ〜?」
「あー、やっぱ反対側に回るのね」
世の中そう上手くいくわけではないっつうことらしい。でも当たってるんだから文句言っちゃいけない。
そして出玉消化を終えて20回転、俺の方は再び連続ポキュンが鳴り響く。
「はい1800発〜」
「ぐぬぬ〜」
そして魔法のルールは反転することなく適用され、冥王は忌まわしきリセットを数回転で味わう。
「いやぁ、リセットぉ!」
「次引けば1800発だからさ……」
シームレスに確変が再開し、冥王の1800発チャレンジが始まる。
もはや言うまでもないだろう。
継続率73%としょうもない魔法のコンボ、十全たるフラグの末、ふつーに駆け抜けた。
「あぁん、堪え性のない方」
「いちいち喘ぐな」
「でも、これで大体わかったわぁ。次は循環のルールで確変確定よぉ」
「当たればな」
もはや言うまでもないだろう。
通常、通常、確変ときて循環し到来する確変。200回転ハマって当たった末、先バレ音を聞きたいがためにモード変更したものの、104回転はあっという間に過ぎてしまう。
要するに、冥王ママのヒキは3回目の確変で止まったのだ。
「抑止力ぅ〜!」
「自分のヒキ弱を世界規模で責任転嫁するな」
「だってぇ」
「まッ、これが本当の
900発で稼ぎつつ、出玉は7000を超える。甘デジで7000発も出れば上出来といえよう。
「でもでも、まだ打てるし!」
「………………」
熱くなった奴ほど、冷静さを失い引き際を見誤る(自虐)。
循環とは、すなわち巡り回ってくること。
思い出してほしい、通常2回の当たりにキレた冥王が何回確変引いたか。
────2回だ。
つまりここからは、通常当たりが2回続くであろう既定路線ッ! 冥王は自分の魔法でアホを見るのである。
「大丈夫、確変が2回来てから通常になるはずだから! 循環するから!」
「逆流してんじゃねーか……」
当然そんなことはなく。
虚しくハズれるポキュンを繰り返すこと250回転、そして140回転で通常当たりは訪れる。チマチマ出玉を減らす俺と違い、冥王ママの渋沢栄一がガンガン減ってゆく。
「冥王なのに〜!」
「パチ屋には世界の地位など無用ッ! しょうもない魔法を使った時点で敗北したンだッ!」
自力で確変を引き続ける俺を見習いたまえ。
ようやく自分の失敗を自覚して、ママは困り顔を浮かべた。
「でもまだあの音聞きたいのにぃ」
「自分の力で引くんだよ!」
そして訪れる先バレ音は、冥王の脳を焼く。鬼がかった演出は、もはや出玉ではなく冥王をパチの世界へ誘う魔法だった…………
まぁ結局、確変で1800発引いたら終わったんだけど。
◇ ◇ ◇
数時間後。
先バレの音に囚われた人妻が、蕩けた顔で呆けている。何とは言わないが、事後っぽくみえなくもないので他人のふりをしたい。
「す、すっごいわねぇ……パチンコって」
「パチンコでそんなふうになる奴はあんたくらいだよ」
なんでちょっとビクビクしてんだよ……恥を知れ恥を。
「こ、こんなことを娘に教えてたのね…………ますます許せないわ…………!」
「パチ屋で果ててる奴に言われてもなぁ」
聖女でもここまではなってない気がする。やはり人妻属性だからだろうか。
「わたしは屈しないわ…………そ、そうよ! これは経験が浅いからだわ〜! もっと知らないと!」
「は?」
「そういうわけで、まだまだよろしくねぇ〜」
魔王婚活阻止の話だったのに、
いつのまにかその母親との危ない同棲が始まってしまった…………ッ!
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