第270話 調理方法

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いつも拙作をお読みいただき誠にありがとうございます(*ᴗˬᴗ)⁾⁾


皆様のおかげで、第2巻が4月中旬にアルファポリス様より発売されることになりました!


素晴らしい書影も公開されておりますので、イラストだけでも見ていただけると嬉しいです!


2巻ではイドとウド、そしてサンドラのイラストが登場しますのでご期待ください(*´꒳`*)


また、14日にアルファポリス様の規定により、書籍化される部分が非公開になりますのでご注意ください。


https://kakuyomu.jp/users/iwasetaku0613/news/16818093074863994909

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「それじゃあ、いつも通りおすすめを適当に作って持っていくとするか」


「はい!」


「頑張ります!」


 管理棟へ戻ってきて、サリアとイドと一緒に手分けをしてサンドラたちに出す料理を作っていく。サンドラがこのキャンプ場に来る時にはいつも食材を持ち込んでもらっている。


 あんな小さな女の子の姿をしているが、とてつもないほどの量を食べるから、サンドラのためだけに食材を準備しておくのが難しいのである。今回は鳥の肉を提供してもらった。……鳥と言いつつも大きな肉の塊だから、とてつもなく大きな鳥なんだろうな。


「それにしても吸血鬼ですか。古代竜の友達という時点で普通の種族ではないと思っておりましたが……」


「やっぱり吸血鬼って珍しい種族なのか?」


 厨房で料理を作りながら、食堂のテーブルに座っているソニアと話をする。昼時の忙しい時間帯は過ぎているから、この時間帯はみんな交代で休憩を取ってのんびりしているところだ。


「古代竜と同じでおとぎ話に出てくるような種族ですよ。古代竜のように大きいわけでもなく、基本的には人の前に姿を現さないので、古代竜よりも珍しいかもしれませんね。当然私も今まで会ったことがありません」


「なるほど。好戦的な種族とかじゃなくてなによりだよ」


 どうやらソニアでも今までに出会ったことがない種族らしい。……ソニアはこう見えて150歳を超えているらしいからな。世界中を冒険者として回ったソニアでも見たことがない種族なら、相当珍しい種族なのだろう。


 同様に300歳を超えるオブリさんも初めて見る種族だったらしいからな。この世界には本当にいろんな種族がいるものだ。




「お待たせしました。とりあえず簡単にできる料理と飲み物を先に持ってきたよ。あとはいつも通り順番に少しずつ持ってくるからな」


「うむ、相変わらずおいしそうなのじゃ!」


「……いい匂い」


 まずは簡単にできるよだれ鳥、焼き鳥、チキンソテーなどの料理を持ってきた。サンドラが来た時はだいたい簡単にできる料理を持ってきてから、それから少しずつ手間のかかる料理を作っている。


 このあとは唐揚げや照り焼きチキンなど、下味をつけるのに時間が掛かったり、手間のかかる料理なんかをゆっくりと作っていく。サンドラにも他のお客さんがいるから、付きっきりにはなれないと伝えてある。


「サンドラさん、日本酒になります。アンネルさんには果汁のジュースをお持ちしました」


「サリア、ありがとうなのじゃ」


 ひとりでは持ちきれない量だったので、サリアにも持ってきてもらった。ちなみにオブリさんは一度エルフ村のみんながいる場所へと戻っていった。あとでまたお邪魔するそうだ。俺も仕事が終わったら、少しお邪魔するかな。アンネルさんにいろいろと話を聞いてみたいしな。


「うむ、相変わらずここの料理はうまいのじゃ! 生で食べたり、ブレスで焼いて食べるのとは全然違うのう!」


「……おいしい。確かにこれは初めて食べる味」


 サンドラはいつも通り豪快に料理を食べていくのに対して、アンネルさんはそれぞれの料理を少しずつ皿に取り分けて口へと運んでいく。どうやら持ってきた料理を少しずつ食べていくようだ。


「普通に焼いただけじゃなくて、とても複雑な味が付いている。同じ肉を使っているのに全然違う味でおいしい」


 相変わらずあまり表情は動かさないが、料理を褒めてくれているので、少なくとも口に合わないということはないみたいだ。


「気に入っていただけてよかったです。同じ肉でも、焼いたり茹でたり揚げたりでだいぶ味が変わってきますよね。それに味付けもいろんな味を用意しているので、次の料理も楽しみにしておいてください。そういえばアンネルさんは普段どんなものを食べているのですか?」


 先ほど好みを聞いた時、基本的にはどんなものでも食べられると言っていたが、普段はどんなものを食べているのだろうか? そもそも血を吸う以外に普通に食事をするのもちょっと意外だった。


「……少量の魔物の血があれば、食事はほとんどとらなくても大丈夫。だけどたまに焼いた肉なんかは食べる。でもそれよりもこの料理は全然おいしい」


「そう言っていただけて嬉しいです」


 どうやら魔物の血さえあれば、それほど食事を必要としない体質らしい。もしかしたら、サンドラと同じで塩なんかの調味料や香辛料なんかも使っていないのかもしれないな。


「ちなみに当キャンプ場にもアウルクという魔物がいるのですが、ここで一緒に働いている仲間なので、血は吸ったりしないでくださいね」


「アウルクの血はまずいから、絶対に飲まない」


「な、なるほど……」


 そういえばアウルクという魔物の肉はとてもまずいんだっけ。即答していたし、よっぽどアウルクの血はまずかったのかもしれない……


 まあ、これでアリエスも安心してくれるだろう。


「それに魔物の血も少し貰うだけで、命に別状はない。少し痒くなるくらいなだけ」


「あっ、そうなんですね」


 血を吸うと言うからには吸い尽くすイメージだったけれど、そんなことはないようだ。少し痒くなるだけって、なんだか蚊みたいだな。


 どうやらこの世界の吸血鬼というものは俺が想像していたよりもずっと平和的な種族らしい。

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