見てない夢の話
溶けて潰れた身体は、毛羽だった合成ゴムだ
二人がぐにゃりと溶け合い性交をする
大きな泡と大きな泡の間にある極小の泡が眼の端にちらつく
目の前の人の唇の皺一本一本を眺め、唇と顎の間に深く飛び込んでいく
気が付けばここは海の上で、遠いところまで漕いできたのだ
振り返っても岸は見えない
水面は揺れているが船も揺れている
身体は揺れているが心は揺れている
揺れているのがあたりまえ、あたりまえに立脚する
日が照っている
太陽のある方向に顔を向けるのが重だるい
ちょうどその方向から棒でぐいぐい押されているかのように
光は痛い、なぜ
太陽の因果は理解できない
そういえばあの森はどうなったのだろう
幼い頃に行ったことのあるあの森は
いくつもの木があそこから採れるのを知った
柔らかい地面、森の中、木を切ったにおいがあたりまえのように満ちている
向こうの方に何かを見つけた
橙色に光っているぞ
手に取ると、木の破片だった
でもたしかに、見つけた時は何かあった
見つけたものに近づいて、良く見てしまったからそれは消えてしまったのだ
ふさがっていて通れない森の奥には何かがあるのだろうか
柔らかく網目になった木繊維を引き延ばすように、さわさわと音を立てながら、夢はゆっくり崩壊する
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます