第27話 四大神官

 依頼書を見るまでもなく、災害が発生しているのは皇都シグニフィカティウム。ここからさらに東へ行かなければならない。


「どこか開けた場所に出たら、城塞召喚してひと眠りするか」


 さすがに一日で踏破できる距離ではないので、俺はそう提案した。


「そうだね。ただ、こうしてる間にも助けを待ってる人々がいるんだと思うと、あんまり眠れないかも」


 敵国の住人をそこまで心配までするとは。さすがは聖女だな。


「だがその前に俺たちが力尽きてしまっては困る。眠れなくとも、横になるくらいはしたほうがいい」


「うん、ありがと」

                 ◇

 適当な平原に城塞召喚して休むと、濃い瘴気が漂っていることに気付いた。


「これは……コラキアのときと同じかんじだ」


 俺は、瞬時にアルバレス家を崩壊させた邪神の眷属、【追従】のコラキアのことを思い出す。


 俺たちは瘴気の発生源に行ってみることにした。


 草むらをかき分け進むと、破壊された建造物が見えてきた。


「これは……イエラ様の奇蹟?」


 唐突にミカエラが呟く。


「分かるのか?」


「うん。イエラ様の気が感じられる。イエラ様は石や岩を操るから、それを応用してこの建物を造ったんだと思う」


 なるほどな。だが既に全壊状態だ。おそらくルクレツィアの【アース・グラビトン】の余波で壊されたのだろう。


「じゃあこの瘴気は、邪神の眷属の封印が解けたことによるもの?」


「そうなるね。イエラ様がわざわざ祠を造ってまで封印したとなると、高位の眷属が封じられていたんだと思う」


 まずいな。そうなると、ルクレツィアの侵攻のせいで、皇国でも邪神の眷属が復活したことになる。


 考えられるのはいわゆる四大神官だ。


【追従】のコラキア。


【怠惰】のミソボニア。


【逸楽】のトリュペー。


【忘却】のレテ。


 を称して四大神官という。


 邪神ベルルに使える最高位の眷属にして、十五年前に世界を破滅寸前まで追い込んだ邪神の手先だ。


 その厄介さは五大勇者の霊から散々聞かされている。


 確かなのは、ルクレツィア以上の強敵を倒さねば、邪神討伐など絵空事でしかないということだ。


 俺たちはすぐさま皇都へと急いだ。


 だが皇都に入るまでもなく、異変に気付いた。


 異形の化け物が、こちらを見下ろしていたからだ。


「なんだこれ……」


「うそでしょ……」


 天を衝くほどの巨大すぎる魔獣が、皇都を踏み荒らしていた。

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