第15話『オリーブ、おたおたする』

「いや、いや、まだだから!」

 またまた赤くなるオリーブ。

「どこまでいったんですか? A? B?」

 パティの容赦ない問いが続く。

「ちょっ、きわどい質問やめてよー!」

「いいじゃないですか、減るもんじゃなし」

「神経がすり減るっつうの!」 

「Aは済んだのよね?」

「トゥーラ⁈」

「へぇーっ、そうなんだ」

 ミルラの抑揚のない言い方。またぶり返しそうであった。

「あの人の唇の感触は、見た目のニヒルさに反して柔らかだった」

 パティが小説風に仕立てると、メグが続いた。

「私は初めて官能の世界を知ったのだった。「神様、ありがとう」」

「そっ、そっ、ヤダ――ッ!」

 両手で顔を覆うオリーブにミルラが一言。

「もう勝手にしてください」

「さて、そろそろいいかしら? みんな作業に戻りましょう」

 トゥーラが冷静に言った。

 当然のことながら、他の女性メンバーはとっくに作業に戻っていて、この騒ぎを見物している。オリーブはいいスケープゴートである。

「みんなに怒られる、怒られる……」

 ぶつぶつ繰り返すオリーブの横で、シエナがクスクス笑う。

「え、私そんなに変?」

 オリーブが気づいて言うと、シエナは生産修法の球を両手で包みながら首を振った。

「いいえ、ただ、オリーブさんかわいいなって。初々しいっていうか、まるで初恋みたい」

「あー、ほとんどそうかな。ちょっと前まで不毛な片思いしてたから……」

「だからそんなに純粋なんですね。やっぱりオリーブさんにはタイラーさんみたいな大人の包容力がある人じゃないと」

「そう? でもねぇ、やっぱり釣り合ってないんじゃないかって思う時ある」

「そんなことないですよ! 美男美女でお似合いって感じですよ」

「えーっ、私美女っていうガラじゃないよ?」

「そ・れ・は、自分の魅力の方向性を知ってるから言えるんですよ」

「そ、そうかな……?」

「普通、女性って恋をしたら、自分磨きって言って、お化粧変えたり髪型変えたりダイエットしたり……外見にこだわりますけど。私が見た限り、オリーブさんは全然ブレてなかった。自分で勝負しようとしてた。自分を大事にしてるんですね。それって成就する恋には必須の条件ですよ」

「……シエナって鋭いんだね」

「よく言われます。でも、オリーブさん、そのままでいてくださいね。例えば赤ちゃんが女の子だからって、自分も女らしくしようなんて個性を押し込めるようなことはしないでくださいね。努力は必要かもしれないけど……方向性が違っちゃうと、タイラーさん寂しがりますよ、きっと」

「う、うーん。まだリアルに迫ってこないイメージだよ、それ」

「オリーブさんは無自覚ですけど……たぶん、状況が許せばあっという間に結婚・妊娠・出産コースをたどりますよ」

「それって予言⁈」

「だって、見えるようですよ。二人の赤ちゃんになりがってる魂が押し合いへし合いしてるの」
















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