第12話『グルメ狂騒曲』

 一方、集会所の小さなキッチンでは、ポールとトゥーラがランスとルイスを助手にして、料理を作っていた。

「よーし、できた。お皿ちょうだい!」

「はい、ここに」

「サンキュー! ポール特製、ピリ辛肉野菜炒め完成!」

 湯気がふわぁっと吹き上がる、大皿に載せた料理は艶々して、じわぁ~っと生唾が込み上げてくるような絶品だ。

「さぁ、腹ペコども、じゃんじゃん食え!」

 キッチンから囃し立てるポール。

 イサクが目を輝かせてがっついて、周りを慌てさせた。

「うまいっ、うまいっすよ、ポールさん!」

「こりゃイケる」

「さすがね、教えてもらおうかな」

 イサクやフィリップたちの箸が止まらない。

「これでどう? ルイス」

 トゥーラに出来を聞かれて、ルイスが答える。

「グッジョブですよ、トゥーラさん!」

「はい、トマトと水菜、豆腐のピリ辛サラダ完成よ」

「やりぃっ! ちょっと味見……うーん、ドレッシングが絶妙!」

 ポールが円卓に出る前に、ごっそり味見してしまった。

「特権乱用!」

 キーツがすかさず言ったが、ポールはせせら笑った。

「フフン! 彼女のものは俺のもの。俺のものは俺のものですばい。悔しかったら彼女作りんしゃい」

「横暴だ! 断固抗議する」

 言ってキーツはルイスが持ってきたサラダを皿ごと抱える。

 たちまち起こる笑い声。

「まだまだ! トマトの冷製パスタてんこ盛り行くぞー!」

「こっちはそら豆の冷製ビシソワーズよ」

 バタバタと走り回るのはランスとルイスである。

 皿を出したり、材料を洗ったり、料理を運んだり、皿を片付けたり。まさに大車輪だ。

「よーし、餃子十人前あがりー!」

「肉団子スープ出来上がり」

 ポールとトゥーラは競い合うようだった。

 しかも、どれもこれも絶品グルメなのだ。

 食べる方も必死である。

 特にライバル関係のキーツとイサクがすごい食いっぷりを発揮した。

 ウエイター二人が空気を読むので、盛りだくさんのポールの料理と、上品なトゥーラのメニューを交互に置く徹底ぶりだった。

「はいー! サラダ寿司十人前あがりー!」

「海鮮茶わん蒸し完成よ」

 まるでグルメ狂騒曲だった。

 これがデザートまで続くのだった。

 オリーブは親友のレパートリーの多さに驚き、簡単なレシピを教えてもらおうと決意した。

 食がもともと細いタイラーは、オリーブがあまり料理が得意でないことを喜ぶのだった。















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