第5話『1日目の反省会』
今日の反省会はバリスネ長老の厚意で、民話の里の集会所で行うことになった。
後から合流したポールとキーツは、「サバラスさんにシチューをご馳走になった」と上機嫌だった。
「今度、パラティヌス産のトマトで作った、ミネストローネを食べてもらう約束をしたんだ。参加者募る!」
ポールが威勢よく言うと、マルクが言った。
「それは全員参加するよ。いい機会だしな」
「早いとこ誤解が解けてよかったよ」
ナタルも反省会には顔を出していた。
「民話の里は渋い顔をするだろうがな」
タイラーが苦笑する。
「頑迷な反対派を押し切っての依頼だってわかったことは収穫だったよ」
アロンが眉間の皺を押しながら言う。
「ごめんね、私が思い切ったことしたから……」
オリーブが謝ると、ランスが言った。
「全然問題ありませんよ。報告書を見たら腰を抜かすんじゃありませんか」
クスッと笑ってトゥーラも言う。
「115%の達成率はダテじゃないわ」
ルイスも続く。
「さすがですよ、オリーブさん。文句は報告書を見てから言ってほしいですよね」
「バリスネ長老が話のわかる人でよかったね」
キーツが村人との顛末を聞いて同情した。
「そうだな、民話の里でも懇親会とか開いたらどうだろう?」
マルクが先ほどの反省を込めて言った。
「それいい! 絶対やるべきだね。んで、頑固なお年寄りの皺を伸ばそう!」
ポールは乗り気だったが、ランスは慎重に言った。
「童話の里ほど勝手を知らないんですから、時機を見るべきでは?」
アロンも頷く。
「そうですよね、少し様子を見た方がいい。まずはメンバーに民話の里でのマナーの徹底を呼び掛ける方が先だ」
「そんなもんかねぇ……まぁ、サバラスさんが協力的になってくれるんだったら、問題は7割方解決だけどね」
ポールがサバラス懐柔の自信をのぞかせる。
「きっかけがウチのミルラちゃんだっていうのが意外だったなぁ」
オリーブが片手で額を押さえる。
「無邪気なのがよかったんじゃない?」
キーツはミルラがテレポートで戻ってきた時の笑顔を思い出して言った。
「その後、フォローに往ったポールは、下心丸出しだとしてもな」
タイラーがありありと場面を思い浮かべた。
「頼まれなくてもサバラスさんの懐に突撃してたよ」
キーツが訳知り顔に言った。
「おかしいな、俺にしてはずいぶん気を遣ったんだぜ?」
ポールが心外だと反論する。
「それはわかったけど、やっぱりポールはポールだったと」
オリーブが結論づけた。
「ポール、年始から厄が回ってきてるからな。気をつけろよ」
注意を促すマルク。
「そうなんだよね……ちと役回りのローテーションが頻繁だな」
「天中殺じゃない?」
ナタルがあっさり言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます