密室は理性を破壊する
日曜日の昼時浜松駅前
俺は家康くん前で葛原さんの到着を待っていた。
てか高校に入ってからこうやって女子と遊びに行くの初めてだな。体が痒くなってきた。
「おまたせ、待った?」
声がする方を見るとそこにはいつもとは違った印象の葛原さんがいた。
いつもは着崩した制服にあの性格なものだから少しやんちゃに見えるのだが、今日の葛原さんは白のワンピースといういつもとは正反対と言ってもいい服装だった。
メイクもめっちゃちゃんとしてる…普通に惚れるだろこんなの
「じゃあ行こっか。」
一緒に歩き出したはいいものの周りの人からの目線が痛い。なんだろう葛原さんの隣は少しハードルが高そうだ。
俺は後ろをとぼとぼと歩く。
「なにやってんの、早く隣に来なさいよ。」
腕を掴まれて無理やり隣に移動されると、カラオケに着くまでの時間が地獄へと変わってしまったようだった。
カラオケなんていつぶりだろうか。
受付をすませて早速部屋へと入る。
「何歌おっか?」
葛原さんは何故だかすぐ隣に座ってくる。
近すぎるような…
「先歌っていいよ。」
「おっけーじゃあ入れちゃうね。」
葛原さんが1曲目に入れたのは最近流行りのバラード曲。いわば失恋ソングというやつだ。
葛原さんの歌声はとても透き通っていて繊細な歌声をしていた。
なんか心に直接届く感じがする。
「じゃあ次は落合くんの番、と言いたいところだけどさ、少しいい?」
葛原さんは俺にそう告げると俺の体を押し倒して俺の上に馬乗りになった。
「え、えっとこれは一体どういうこと?」
全く状況が掴めていない。
「私、落合くんなら私に愛を、人間になる方法を教えてくれると思ってた。なのに昨日、私以外の女と楽しそうにお茶してたよね。」
み、見られてたの!?
やばいやばいどうして居合わせてるんだよ葛原さん、こうなったら委員長には申し訳ないけど事情を話すしかない。
すまん委員長、俺はまだ死にたくない。
「ちょ、ちょっと
待って、葛原さん。誤解だよ。あれにはちゃんとした理由があるんだ。」
「ふーん。理由ね。」
やばいよ、この目は何も信じてない目だよ。目が死んでるもん。
「委員長の相談に乗ってたんだよ。お金に困っててパパ活してるって、だからどうしたらお金をどうにかできるかなって。」
「へぇ、どうせパパ活してあげてお互いにwin-winの関係になりたかったんでしょ。」
「そんなことないからね、?普通に知り合いが悩んでて嫌でもないパパ活なんかしてたら普通心配になるでしょ。」
「私にはそんな気持ちわかんないよ!セックスを嫌々してたことなんて無い。好きでしたことも無い。でも私の獲物なんだから落合くんは渡したくない。」
「え、?それはどういうこと?」
「わかんない、なんにもわかんない。だけどなんか他の女に取られるって思うとムカつく、嫌なの。」
え、それってつまりは…
「葛原さん、もしかして俺のこと好きなの?」
「わかんないよ、そんなの。好きになったことなんてないんだもん。」
無意識ってやつか。
これは少し厄介かもな。
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