(三)-5

 宝殖産興業にはいい噂のない会社で、暴力団ともつながりがあると噂されていた。金融の他は不動産業なども営んでいた。社長は宮崎善郎という戦後直後生まれの人間だった。そしてクリーン・キャッシュの社長に就いた人間というのが、その宝殖産興業で宮崎の右腕だった国分隆司という男であった。

 裁判記録には、金融事業はクリーン・キャッシュがやっていたとされるが、実際には宝殖産興業が闇金事業をやっており、クリーン・キャッシュの顧客に貸し付けていたのはこの親会社だという指摘があった。しかし、実行はどうやら国分が中心となってやっていたらしく、この宝殖産興業とその社長の宮崎は無関係と、裁判で認定されていた。


(続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る