「空を、跳びたい」

椿レイ

~Proloug~

あの日、僕が見た景色はとても輝いていた。


四角形の緑色のマットの上でバク転をする姿は、まるで広々とした草原を飛んでいる鳥のようだった。


両手を広げて片足を上げて立つ6人の姿はさながら美しい白鳥のようだった。


四角形の隅から大きく息を吸って交互に飛んでいく姿は目を離せなかった。


6人もいるのに、まるで1人の人が操っているような揃い具合に思わず息を呑んだ。


4分間。短い間に音に合わせて地を蹴って跳び交うその姿は、力強いのに思わず涙が出るほどどこか繊細で。


たった240秒間しかないその時間で僕の人生は変わった。



「空を、跳びたいと思った。」


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