第7話 ミーナこそが"本物"です
まだロクサスが緊張していると、次に英雄たちの中から見覚えのありすぎる女性が出てきた。
ロクサスはその姿に驚愕する。
「ミ、ミーナ!? いや違う……けど凄く似てる!」
「えぇ!? わ、私に似た英雄様がいるんですかぁ!? ごめんなさい、私なんかに似てしまって……」
ミーナは必死に土下座をする。
順番的には向こうが先では?
そんな疑問は置いといて、ロクサスは大人版のミーナのような彼女の美貌につい瞳が釘付けになってしまった。
〈その子! さっきミーナ=マーリンって名乗ってたし私の子孫でしょ! あはは、嬉しい~! 幼い頃の私にそっくりだ~! 私はマーリン! 魔術の基礎を作った大魔術師よ! よろしくね~!〉
そして、英霊マーリンは触れないミーナを抱擁した。
もちろん霊体なので貫通しているが、マーリンは気にしていないかのように満足している。
〈ねぇ、ミーナのこともっと詳しく教えてよ! どうして私の子孫がこんな場所にいるの?〉
「ミ、ミーナ、自己紹介だ! どうしてここにいるかをお伝えして差し上げ立てつかまつれ!」
英雄ということと、大人になったミーナのような姿という二つの意味で緊張しきったロクサスは敬語を崩壊させつつミーナに指示を出す。
「わ、分かりました! えっと、私はマーリン家の長女として生まれましたが、マーリン家は代々金髪の魔術師の家系でして……」
〈……え? 金髪……?〉
ミーナの話にマーリンは首をかしげる。
「生まれつき黒髪だった私は"魔術の才能がない"と判断されて、部外者として捨てられてしまいまして……マーリン家の当主を継ぐのは優秀な妹のレゼに……私、お馬鹿で役立たずだったので」
〈あなたが『魔術の才能が無い』と言われて捨てられた……?〉
「――あっ、妹のレゼは今年、王都のゼムシーナ学園に入学するんです! せめて入学式くらいは見たかったなぁ……。と言っても、レゼは優秀だし私を見たらまた凄く馬鹿にしてくるんだろうけど……」
「ミーナ、話が逸れてる逸れてる! 英雄様、すみません!」
すぐに自己嫌悪に陥って泣きそうになるミーナに、ロクサスは慌てる。
しかし、一連の話を聞いてマーリンは手を叩いて大笑いした。
〈なっるほど~! これは面白いことになりそうね! 私もロクサスについていくわ! ねぇ、ヒミコ! 霊媒師なら私たちを何人でも連れていけるんでしょう?〉
〈そうじゃな。墓の代わりにロクサスの身体の中に住まわせてもらう感じじゃ〉
「えっ、それは流石に嫌で――」
〈じゃあ決まりね! あはは、ミーナ! あなたを捨てた奴らに一泡吹かせてやりましょう! と言っても、私の声は聞こえないかぁ~。じゃあ、また後でね!〉
マーリンはケラケラと笑いながら勝手にロクサスの身体の中に入っていった。
〈安心せい、お主の中に入っても英霊たちは何もできぬ。おぬしから働きかけない限りはな〉
「ほ、本当ですか!? 内側から身体を破壊されたりしませんか!?」
ヒミコの言葉を全力で信じるしかないロクサスだった。
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【業務連絡】
露骨なフラグを立てていきます。
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