第782話 ナウエリスへの帝国増援軍3

 翌日、屋敷の留守番になっているイドとレナルマンのもとにジェロの手紙を届けて、収納袋の中身を空にしてくるハポリエル。

『今度はディートマル達の居場所を把握して、そこにも届けないとね』

『でも馬車を引く馬は魔法の袋で運搬できないから、あまり多くはダメよ』

『う、そうだな。まぁたくさんの戦馬がいるし、必要なら追加で馬の調達もして貰おう』

 ディートマル達が引率している避難民達への資材送付にも目処をつけておく。


「それでも、3万もの軍勢の兵糧だったんだから、まだまだありますね」

「そうだね。まだ盗める物があるから、今度はモーネ王女やルネリエル王弟のところに運べば良いよね」

「そう思うと、インラントへの増援軍やミュンハーフェンへの軍勢の兵糧などを燃やしたのはもったいなかったですね」

「本当だよね。これからは気をつけないと」

「どうせならナウエリスやエアライツの兵糧庫からも盗めば良いのに」

「ネベルソン、だから頭が悪いと言うのよ。そんなことをすれば住民から徴集されて住民が苦しむだけでしょうが。私たちはラーフェンの住民を助けるのが目的で、占領している帝国軍を排除したいのだから、忘れないでよ」



「え!?帝国から3万もの援軍ですか!」

 盗んだ荷馬車をモーネ王女の陣地に置きにいくためには、ジェロによる対面説明が必要と思われたので、ナウエリス包囲軍のところに戻っている。

「はい、今は適当な攻撃を行なって進軍を遅らせるのと合わせて、彼らの荷馬車や積荷を奪っているところです。ついては、その奪った荷の一部をこちらの陣地に置かせて頂ければ、と」

「それはもちろんです。その量に応じて買取費をお支払いしますので」

「元手はかかっていませんので、無料でも結構ですよ」

「そうですぞ、彼もラーフェン王国の貴族。冒険者への報酬の体(てい)は不要で、貴族の義務を果たして貰いましょう」

 王女の横から面倒な口出しをしてくる貴族達。巻き込まれるのは面倒なので、そのまま退出していくジェロ。


 ルネリエル王弟の陣地にも同様の調整を行い、積荷の置き場所を確保していく。

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