第732話 帝国の増援部隊

「では私たちも出発しますか」

「そうだね。でも、ワイバーンは大きくて目立つから気をつけないとね」

 アルマティと、ルッツに乗ったコンスタンと一緒に南に向けて空を飛ぶ。

 主街道を北上して来ているはずの帝国の大軍を確認するためである。


「あ、あれだね」

 光魔法の≪望遠≫も使用しているジェロは、他の二人より先に発見する。

 先発隊が騎兵3,000騎だったのを踏まえて覚悟はしていたが、1万ほどの数なのであろうか。それほどの規模の数を数え慣れていないジェロにはパッとはわからないが、ある程度の部隊ごとに少し隙間が空いているので、小さいのを数えて部隊数をかけるとそれぐらいに思える。


 槍や弓を持った大量の歩兵と、数多くの荷馬車である。指揮官と思える騎兵もいるが、数は少ない。それよりも荷馬車の積荷が気になる。

「食料などはわかりますが、あの木材はなんでしょうか?」

 ほとんどの攻城戦は≪飛翔≫ができるメンバだけで行っていたので、コンスタンは経験が少ない。

「たぶん、城壁を越えるための梯子にしたり、城門を破る道具にしたりするんだと思うよ」

「え、インラントの街を守るための援軍じゃなかったんですか?」

「騎兵と違って、間に合わなかった場合のためなのかも。この援軍を率いる人はかなり慎重な人なのかもね。インラントの周辺は平原ばかりで木材が入手できないと考えるぐらい」


 暗くなるのを待ち、帝国軍が野営するのを待つ。

「かなり篝火が多いですね」

「やはり慎重な指揮官なのかも」

 ジェロとアルマティだけで野営地の上空に来ている。

「でも、様子見は必要だよね。やってみようか」

 なるべく離れたままで、ヴァル、リバイモン、ハポリエルも呼び出す。

「人ではなく荷馬車だけ燃やすように狙ってよ」

「面倒なことを」

「良いから」

 上空から地上への一方的な焼き討ちになると思っていると、地上ではなく空中から≪火槍≫が飛んでくる。

「何!?」

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