第730話 ミュンヒへの部隊選定2

 色々と悩んだジェロだが、マドロールたちとも相談し決定する。

 まず簡単なところでは、領地に残してきたイドたちには、ハポリエルを使って一方的に通知だけ行う。ラーフェン王国の南部の解放において、帝国本国からの援軍が邪魔になるため後方混乱のためにミュンヒ地方に行くが、イドたちは継続して領地の方を頼む、と。


 そしてミュンヒ地方には、全員で向かうことにする。ただ、このまま100人が揃って向かうと目立つのと、街道を行くと援軍に来ているはずの帝国軍と遭遇するであろうから、まずは空を飛べるジェロ、アルマティ、ルッツに乗るコンスタンのみが先行して様子見に向かう。

 そして、マドロールを含むディートマルたち100騎は主街道を避け、西のルグミーヌ王国との国境の山脈近くまで行ってから南下して国境を越えることにする。


 ルグミーヌ王国のメンヒルト王女たちにも挨拶をするとコンスタンについてくるという。

「王女殿下、空を飛べない我々では足手まといになって、かえって迷惑になります」

「う……」

 トリアウエ騎士団長の助け舟の言葉に詰まるメンヒルト。

「はい、お気持ちはありがたいのですが」

「では、私たちも国境に向かいましょう。このままインラントの街付近にいても役に立たないどころか兵糧の無駄喰いになってしまいます。ミュンヒ地方と接する国境で、ルグミーヌ王国内側に待機すれば、少しはお役に立てるのではないでしょうか」

「……そうですね。では、ラーフェン王国側とも交渉してから移動することにいたしましょう」

 今度はトリアウエ騎士団長が言葉に詰まる。否定できないのと、確かに将兵たちも自分たちの存在意義を疑問視し始めていたので良い機会であると、その案に乗ることにする。

「ありがとうございます」

 ジェロたちも、ミュンヒ地方での営みがうまく行かなかった場合の逃げ込み先ができるのはありがたい。

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