第727話 インラントの防衛見込み3

『で、ネベルソンに状況を聞けば良いのね』

『ヴァル、すまないがお願い』

 リスチーヌと共にミュンヒ方面に送り込んだ魔人ネベルソン。彼の悪魔シトリーを経由して状況を把握したい。


『なんだよ、うるさいな』

『ジェロだ。ネベルソン、状況を教えてくれ』

『あぁもう、めんどくさいな。わかったよ。この女が言うことをそのまま伝えるぞ』

『あぁ、リスチーヌの報告をそのまま頼む』

『ジェロ様、状況は良くないです。先に送り込んだ騎兵隊は捕まっているようです』

『どういうこと!?』

『あぁ待て。面倒だな、これ。はいはい。すでに帝国の支配下に慣れた者たちもいるようで。特に帝国軍に取り込めた商人たちは、旧の王国体制に戻りたくないようです。ただ、やはり二等国民として虐げられている者たちは独立志向があるようです』

『こちらインラントの街は解放できたが、帝国からの援軍が多くて困っている。ミュンヒ地方で反乱を起こすことでラーフェン側への援軍を送る余裕を無くしたいが可能かな』

『ちょっと待て。あーはいはい。良い案だと思います。ただ、繰り返しですが帝国の支配下の方が良い者たちもいますので、すんなりとはいかないと思います』

『うーん、わかった。ネベルソンもありがとう。二人とも気をつけてね』

『くそ、こんな面倒なこと。クリノームかベルフールに変わって欲しいわ。この女はうるさいし』

『ネベルソンにヒル王子の相手はもっとできないだろう?そっちを引き続き頼むぞ』


 すぐにディートマルやグンドルフたちに状況を伝える。行かせた騎兵隊員が捕まっていることを心配するが、ミュンヒ地方の状況を知ると肩を落としている。

「そうですか。まぁ20年も経てば……ラーフェンのように最近ではないですから……」

「しかし、まだ独立志向の者たちがいるだけありがたい。ジェロマン様、我々もあちらに行けないでしょうか」


 ルネリエル王弟に相談すると、ジェロたちの戦力減も心配だがこのままではジリ貧であることを懸念すると、ミュンヒ地方への潜入を許可される。

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