第658話 ルネリエル王弟の企み3

 ルネリエルからの支援依頼には即答はせずに、王城内で与えられた来客用の部屋に戻るジェロたち。

「ジェロ様、やはりこのラーフェン王国へのご支援をされるのでしょうか。確かにまだ南部がムスターデ帝国の占領下にあるということは、我々が以前に見てきたように二等国民として虐げられているのだと思いますが」

「うーん、それは確かに可哀想だし何とかしてあげたいのはあるけれど、モーネ王女たちがこの王都ジークセンまで奪還できた後は、やっぱりラーフェン王国として何とかする話かとも思うのだよね……ミュンヒたちも希望はしていたけれど……」

「ジェロ様はラーフェンの領地持ち伯爵でもあるんですよね?」

「う、確かに……」

「それと帝国の占領下で、という話であればベルカイム王国の住民は帝国、皇国と何度も争奪戦で苦しんでいるのではないかと」

「あっちはルージャンに目処が立てば皇国軍の力で解放されるだろうね」

「それって、ヒルデリン王子もいるベルカイム王国が皇国の属国どころかほぼ一地方になるような未来が……」

「うん、ベルカイム王家としては厳しい話かもしれないけれど、その方が国民には幸せなのかも。ベルカイムの北側って、険しい山脈だから実質的に隣接しているのはコンヴィル王国とラーフェン王国とユニオール皇国の3ヶ国だけだし」

「ではやはりラーフェン王国の南部に?皇国の支援ももう無いでしょうし」

「うーん……」「ネベルソンはムスターデ帝国を相手に戦える?」

「うん?まぁ確かにこの前までは味方だったが、帝国兵そのものならどうでも良いぞ。それより魔人相手に、これからは本気で戦えるならば歓迎だな」

『戦闘民族か……』

「ジェロ様!?こんな奴を1人で好きにさせたら、主人であるジェロ様にその責任が来ますよ!」

「そうだよね……ルージャンではベルフールがまだ常識がありそうだったけれど」

「なんだと、我に常識がないというのか?」

「あるのか?」

「……」

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