第649話 捕虜の魔人3

 帝国関係の話などをある程度は確認できたので、ジェロにしてはお待ちかねだった、魔人たちの装備の確認に取り掛かる。

「何か珍しい魔道具や魔導書を持っていないかな……」

「ジェロ様!魔人とはいえ、二人は女性ですよ。その荷物を漁るなんて」


 リスチーヌに叱られ、確かにと自分はネベルソンの荷物だけ確認するが、気になるのは魔導書ぐらいであった。

「これって」

「あぁ、遺跡で発見したもので≪魔力矢≫ならぬ≪魔力槍≫だ。身をもって経験しただろう?」

『ヴァル?』

『確かに他に使う人は見ないわね。昔に逸失したのかもね』

 ≪魔力矢≫だけでなく、いくつもの属性の槍系魔法を習得したジェロなので覚えるのはすぐと思われるが、必要箇所だけメモをする。

「そういえば、悪魔シトリーの依代はその指輪で良いのだよな?」

 ネベルソンに指輪を渡してシトリーを出現させる。

「よく分かったな。俺が眠ったあとに無体なことはしなかったようだな」

 その指輪以外に確認が終わった魔導書も含めて一式を本人に返却する。

「良いのか?」

「最初に言った、俺たちの仲間の一員として行動するには必要だろう?」


「ジェロ様、こちらの二人の荷物にご興味がありそうなものはありませんでした。魔法の袋の中には着替えなどもありましたけれど」

「それは良いから。二人の契約悪魔は依代を使っていないの?出してくれる?」

 その言葉に合わせてクリノームとベルフールがそれぞれ1体の悪魔を召喚する。

「こっちの男の悪魔は私の契約相手、アグラースよ。依代はこの指輪よ」

「私の契約相手は彼女、ラマタン。依代は同じくこの指輪よ」

 3人の契約悪魔はいずれも人間サイズで出現するので部屋も狭くなった気がする。

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